人間とAIが同じ土俵で勝負したら同時通訳者は失業?

人民網日本語版 2019年07月03日10:23

人工智能(AI)は同時通訳業界から仕事を奪おうとしている。このところ、一部の国際会議では、通訳の仕事がすでに同時通訳AI製品に任せられている。通訳内容は大型スクリーンや携帯電話などの設備を通じて伝えられ、同時通訳者がブースの中で通訳するというこれまでのあり方をすっかり変えてしまった。中国青年報が伝えた。

同時通訳者はかつて「21世紀に最も不足する人材」と呼ばれ、収入は高額だが、今では「いつでも失業する可能性がある」と揶揄されている。一方の同時通訳AI製品は市場で非常に人気だが、同時通訳AIが通訳するわけの分からない内容は、人々にその能力に対する懸念を抱かせている。

AIが同時通訳者に取って代わることは可能なのか?

同時通訳AIは登場するたびにたちまち会場内の視線を集める。

人間の同時通訳者が閉め切ったブースに入っているのと異なり、会場の大型スクリーンが同時通訳AIの仕事場だ。講演者が話し終わるのとほぼ同時に、その内容に対応した中国語や英語の字幕がスクリーン上に現れ、その後は講演者の話す内容の進行に合わせて通訳内容が絶えず最適化されていく。会場の聴衆はスクリーン上を流れていく字幕を見て、思わず驚嘆することになる。

同時通訳AIサービスを提供する「搜狗同伝」の関係責任者によると、「搜狗同伝」が同時通訳サービスを提供した会議は現在数百に上っているという。「従来の同時通訳者と比べ、機械は疲れることがない。通訳は実際のところ非常に頭を使う仕事で、同時通訳者は数十分に一度交代して休まなければならないが、機械は24時間連続で働くことができるため、より効率が高い」とこの責任者は語った。人間の同時通訳者の訳出率は通常60-70%前後だが、通常、はっきり聞き取れなかったり、訳しにくいなどの理由で、通訳者はよく一部のセンテンスを選択的に省略し、そうすることで全体的な正確さとリアルタイム性を保証しようとする。その点で比較すると、機械の同時通訳は従来の同時通訳者よりも全面的と言える。

また同時通訳AIは価格の面でも優位性がある。世界で同時通訳者が足らず、巨大な市場需要と比べると人材は深刻に不足しており、しかもレベルの高い同時通訳者の料金は高額であるため、一般の会議では負担できない。

だが、同時通訳AIの登場に対し、同時通訳者は依然として楽観的だ。同時通訳者の艾琳さんは、「現在のところ、AIが我々の仕事にとって大きな打撃になっているとは感じていない。AIについての会議はかなり通訳したけれど」と茶目っ気たっぷりに語った。彼女の自信の源はその実力だ。

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