人間とAIが同じ土俵で勝負したら同時通訳者は失業? (3)

人民網日本語版 2019年07月03日10:23

前出の呉顕光さんは現在のAI機能について、「話す内容が表面的な意味であればAIも識別しやすいが、暗に含んだ意味やユーモア、俗語、ブランドなどだった場合、AIにとっては骨が折れるらしく、サポート的な役割しか果たせない」と線引きしている。

同時通訳専攻に未来はあるか

同時通訳者は高収入業界の代表の一つであり、優秀な同時通訳者の収入は1日で1万元以上にもなる。

同時通訳者の艾さんは、プロの同時通訳者は2ヶ国語の優れたヒアリング力とスピーキング力、すばやく言語をスイッチする能力、幅広い専門知識、プロとしての仕事に対する態度を備えていなければならないと考えている。会議前に資料を入手して真剣に準備する段階から、会議会場でコンビを組むほかの同時通訳者とうまく協力する段階まで、どの過程、細部も重要となる。普段は艾さんもよく通訳・翻訳関係のアプリを使っているし、同時通訳者の間でもAI技術の発展に反感はない。優秀な同時通訳者ならば仕事を得るルートは多く、ほかの業界で自分のポジションを探すことも容易だ。

しかし、艾さんの出身大学の教授は「この2年、同時通訳専攻を申し込む学生には気がかりなことが増えている」と言っていたという。艾さんの周囲ではAIの影響で職を変えた同業者はまだいないが、もし学生で、卒業までまだ7-8年あるのであれば、ほかの専攻を考えてみてもいいのではないか、と艾さんはアドバイスしている。

別の同時通訳者は、同時通訳者にとって本当の失業の危機は、若い人の英語レベルが全体的に上がっていることだと考えている。子供の英語教育に対する保護者の重視度がますます上がり、学習方法もますます多様化して面白いものになり、英語の伝達能力や理解能力が母語並みになったら、その時こそ同時通訳者の未来はなくなる、というのだ。

2007年から現在までの間に、AI大手・科大訊飛(iFLYTEK)の劉慶峰董事長は何度もAI通訳と同時通訳者の関係についての態度を表明してきた。劉董事長は、「人間と機械の結合(カップリング)は通訳の分野だけでなく、AIが用いられるほとんどすべての分野で実現する。未来はきっとそうなるだろう。これは技術的趨勢であるだけでなく、倫理や人文面のニーズでもある」としている。 (編集AK)

「人民網日本語版」2019年7月3日 

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