「夜更し」に見られる「ダブルスタンダード」現象

人民網日本語版 2019年07月29日11:15

夜遅くまで勉強はできないが、ドラマやゲームで徹夜できるのはなぜ?

北京師範大学大学院1年の于彬さんは養生に関して、「どうしようもない場合を除き、決して夜更かしはしない」という「戒め」を設けている。なぜなら論文は読み終わるわけがないので、寝るべき時が来たら寝るべきであり、夜にしっかり寝て疲れを取らない限り、昼間集中することなどできないからだ。中国青年報が伝えた。

しかし、ハマりそうな小説や韓流ドラマに遭遇した場合、于さんはこの「戒め」も忘れて、布団に寝ころんだまま午前3時まで一気にドラマを見続ける。「もう少しで見終わるのに途中でやめたら気になって絶対に落ち着かないから」と于さん。

こうした状況をネットでは、「ダブルスタンダード」と呼んでいる。これは、「同じ物事に対して異なる基準で対応する」という意味だ。

「ダブルスタンダード型夜更し」はほとんどの人にとって耳が痛いことのようだ。ネットユーザーらは、「全くもってごもっとも。誰かが私の生活を覗いているのではないかと思ったほどだ」と、次々コメントしている。多くの人々にとって、ゲームやドラマ鑑賞で夜更しをすることは、自分が心からやりたくてやっていることだが、仕事や勉強や論文執筆が午前0時まで続いたら、「だめだ、夜更しは肌や身体に良くない。早く寝なくちゃ!」とつい自分に言い聞かせる。

あるネットユーザーは、「論文の提出期限や期末試験が迫られ、肝臓を傷めてでも徹夜するような場合は、いわゆる残業のようなもの。自ら進んで夜更しすることは徹夜とは言えず、楽しみと享楽のための夜更し」と投稿している。また別のネットユ―ザーは、「ドラマの中に出てくる他人の恋愛のためにしばしば徹夜し、自分の仕事や学業のためには養生を決め込む。自分から進んでする夜更しは睡眠の一部のようなもの」や、「昼間は生きるために必死で働き、夜になってようやく自分の時間を持つことができる。自分の時間は当然、仕事ではなく、自分の楽しみのために使うことになり、あれこれやっているとたちまち時間が過ぎてしまう」といったコメントを寄せている。

北京師範大学心理学部心理指導員の黄利氏は、「今の生活リズムはあまりにも速く、昼間、人々はまるでコマのようにくるくる立ち働き、夜になってようやく自分の時間を持ち、自分の心とじっくりと向き合える。夜更しがなぜ楽しいのかというと、本当に好きなことをしているからだ。昼間は他人のために働き、夜になって心底リラックスでき、自分の心に寄り添える。だから私たちは眼を閉じて眠りにつくことを惜しむようになる。これは、自らが選択した行為であり、誰かに強制されていることではない」と指摘した。

しかし、実際には夜更しも自己抑制力の不足を反映している。オランダの研究者Kroese氏は、かつて、大量のコミュニティサイト調査とデータ分析にもとづき、「就寝の先送り」という見方を打ちたてている。これは、夜が更けても、人々が娯楽など各種行為を言い訳に、なかなか寝ようとしない現象を示している。Kroese氏は、「この現象を招く最も大きな原因は、自己抑制力の不足にある。データに基づく分析・対比を通して、一般的な先延ばし行為と就寝の先送り行為の間には、深い相関関係があり、かつ、自己抑制力と就寝を先送りする時間との間には、顕著な負の相関関係があることが判明した。学習生活において自己抑制力が低い人は、往々にして、「リラックス」する時間もコントロールできず、このため、つい娯楽のために夜更ししてしまう」との見方を示した。

いつも夜更しする人は、総じて、「夜更しは百害あって一利なし」という事実を良く分かっている。にもかかわらず、多くの人が相変わらず、深夜に眠たい目を無理やりこじ開けながら、次の日のエネルギーや楽しみを犠牲にしている。このような「ダブルスタンダード」を「シングルスタンダード」に変えるためには、自己抑制力を高めることを通して、その「必ずしもする必要のない」夜更し生活にピリオドを打つことを学ばなければならない。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年7月29日

  

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