中小企業はいかにして「メードインジャパン」の革新の根幹を支えているか (3)

人民網日本語版 2019年07月29日13:16

洪氏は、「これは『下請け制度』と関係がある。『下請け制度』とは、大企業が市場と受注を掌握し、業務の一部を中小企業にアウトソーシングすることを指す。製品のスタイルや規格を指示するだけでなく、技術指導も行い、完成品は中核を担う企業によって国内外の市場に送り出される。こうした供給関係の下、企業間の取引関係は極めて安定し、川上から川下に至る企業間の協力は数十年の長きに及ぶことも、企業のトップ何世代に及ぶこともある。利益共同体の中で、大企業は人材を派遣して小企業の製造環境や品質管理システムの改善を支援し、新製品の共同開発を推進してきた」と説明した。丸川氏は、「こうしたモデルは中小企業が細分化された技術の研究開発に専念することを可能にし、ひいては技術変革の推進の中心になることを可能にした」と指摘した。

このような利益共同体は企業の海外進出時にも役割を発揮した。丸川氏は、「たとえば中国市場では、日系自動車メーカーと欧米の自動車メーカーでは部品の調達方法が異なる。欧米メーカーは現地で適切な部品企業を探すが、日本メーカーは現地で自社の供給システムを構築する」と指摘。洪氏も、「大企業の海外進出では、サプライヤーやサービスを提供する会社などの小企業を帯同することが多く、日本の中小企業に世界の産業チェーンに参入するチャンスを与えていた」と指摘した。

▽中小企業には専門の「診断士」がいる

今年86歳になる日本の研究・イノベーション学会関西支部の大槻眞一支部長が退職後に従事した重要な仕事は、中小企業のためにより多くの政策的支援を獲得することであり、今年も中小企業の改善に向けた政策提言を数多く行っている。「日本の中小企業は政府から多くの支援を得ており、これもライフサイクルが長くなる重要な原因の1つだ」という。

「中小企業診断士」は日本政府が中小企業に支援を提供する1つのやり方だ。大槻氏は、「日本は整った中小企業向けサービスシステムを構築している。中小企業の資金調達難や資金調達コストの高さといった問題を解決するために、政府は中小企業向けサービスに特化した金融機関を設立し、低金利で長期の貸出を提供している。貸出期間は最長で20年になる」と述べた。

日本の全国信用保証協会連合会では、中小企業向けの各種政策金融商品のポスターを目にした。中には中小企業の継承者問題を解決するための特定金融サービスもある。大槻氏は、「中小企業の生存環境を改善するために、政策金融機関を設立して『輸血』して信頼を増進するほか、中小企業自身の『造血能力』も高める必要がある。多くの中小企業を抱える広東省は中小企業の指導システムを構築し充実させて、中小企業が自身の能力を自身で高めるよう手助けするべきだ」とアドバイスする。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年7月29日

前ページ  1 2 3 

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング