世界中で毎日、大量のCO2(二酸化炭素)が大気中に放出されている。資源化高効率活用が排出削減の重要な手段だが、世界的な難問でもある。中国がこれまで使用してきた通常のCO2変換技術は、高温・高圧及び触媒を必要とするが、これらを得るためにはエネルギーの使用が避けられない。中国の石炭中心のエネルギーを背景とし、従来の技術がCO2の余分な排出につながっている。科技日報が伝えた。
天津大学化工学院の鞏金竜教授が率いるチームは、太陽光エネルギーに目をつけた。鞏氏は「太陽光エネルギーは自然界の尽きることのないグリーンエネルギーだ。我々は木の葉の光合成をイメージした。1枚の葉は光合成により光エネルギーを吸収し、CO2と水を有機物に変えるとともに、酸素を排出する。だが木の葉のエネルギー変換効率は非常に低く、0.1−1%しかない。我々が作ろうとしている触媒は、エネルギー変換効率が普通の木の葉の百倍の人工木の葉だ。太陽光エネルギーを利用することで、人工木の葉は触媒の力を受け、水とCO2を効率的にメチルアルコールやメタンなど炭素を含む分子に変化させる。これは燃料として直接再利用できる」と説明した。
0から1への変化は苦戦を強いられる。まず、実験に使える商業化装置が存在せず、研究チームが自前で模索・設計・開発しなければならない。次に、どの触媒を選べば効率的かについても模索するしかない。実験の失敗が常態化した。
鞏氏のチームは研究開発中、米国や日本の同業者からの激しい競争にさらされた。
彼らは最終的に3年以上の研究を経て、太陽光エネルギーや水素エネルギーなどのグリーンエネルギーが温和条件下でのCO2を効率的に変換し、新たな「光電触媒反応CO2還元」「CO2水素還元」を構築する手段を実現した。CO2を液体燃料及び高付加価値化学製品に変えるグリーンなルートを築き、CO2をメチルアルコールやその他の炭化水素燃料に還元させる新たな進展を実現した。変換の過程において、その炭素系物質の収率は92.6%にも達している。うちメチルアルコールの選択性は53.6%で、世界トップ水準に達している。関連研究成果は巻頭記事として「Angew. Chem. Int. Ed」「Energy Environ. Sci」などの世界的に有名な学術誌に掲載されている。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年7月29日