「2回もコストコに行けば、もうコストコなしではいられない」。米国人消費者の多くが冗談交じりにこんなことを言う。好奇心と開拓精神にあふれた中国人消費者にとって、100ドルほどのサムソナイトのオーダーメイドのスーツケース、200元くらいのダイソンの掃除機、20元程度のカルバン・クラインブランドのTシャツなどが、極めて強い魅力をもつことは間違いない。しかしこうしたオーダーメイド式の大手ブランド商品が中国に進出しようとすれば、高い関税に直面し、価格は決して庶民的ではなくなる。
北京商業経済学会の頼陽副会長は、「中国の既存の関税システムに照らすと、コストコは米国のようなはっきりとした価格的優位性を維持できるとは限らない」との見方を示す。
これまで、会員制スーパーというモデルは中国に合わず、うまくいかないケースがしばしば見られた。有料会員モデルの最も早い例はウォルマート傘下のサムズ・クラブで、1996年に中国に参入した。同じ時期に参入したメトロ、プライススマート、マクロなどは、その後の発展でいずれも挫折を経験し、会員制をやめたり、中国市場から撤退したりした。現在はサムズ・クラブだけが会員制を継続し、会費は260元からとなっている。
頼副会長は、「米国は人々の暮らす家が分散していて、商品を家まで運ぶコストが高くつく。米国人消費者にとって、週末の郊外での大規模・ワンストップ式ショッピングは硬直的需要だといえる。しかしこれは中国国内の消費者には主流の生活スタイルではない。現在、中国ではオンラインショッピングが非常に便利で、これには国境を越えて特色ある輸入商品を購入することも含まれ、大規模店舗や大型スーパーなどの業態はうかうかしてはいられない。インターネットは商業流通システムに革命的な変化をもたらし、これにともなって従来の価格システムが崩壊した。中国現地の小売企業も融合とモデル転換を積極的に追求しており、このタイミングで中国に進出したコストコは、大きな挑戦に直面することになる」と述べる。
注目されるのは、コストコは立地が郊外型で海外の消費習慣をベースにしているため、生鮮食品の割合が低いことだ。同社の公告によれば、2005年に11%だった生鮮食品の割合は、18年でもまだ14%に過ぎなかった。製品の構造も乳製品と肉類製品に偏り、冷凍食品が中心の米国人消費者には理にかなっているといえるが、火の通った温かい食事が中心で、生鮮食品を日常的に購入する習慣の中国人消費者にこれから長く受け入れられるかどうかは、問題だといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年8月28日