日本の年金制度が社会の分断を引き起こすか? (2)

人民網日本語版 2019年09月06日13:27

現在、日本の最新の定年退職の年齢は65歳だ。同審議会の試算では、19年に65歳を迎え、40年間保険料を納め、夫がサラリーマン、妻が専業主婦という標準世帯に支給される標準的な年金額の所得代替率は61.7%だ。

同審議会は経済情勢を好調、標準、不調の3種類に分け、それぞれのケースについて30年後の年金収入を試算した。実質経済成長率が平均0.9%を維持すれば、年金収入は現役世代の手取り収入の51.9%になる。平均0.4%なら50.8%。0.5%のマイナス成長になれば、43年には50%に低下する。

しかしどのケースになっても、30年後に年金額は20%減少する。経済情勢が引き続き悪化すれば、政府が約束した年金基準は達成できなくなり、最終的に所得代替率は36-38%に低下する。同時に、こうした状況の中で国民経済も国家財政も極めて困難な状況に陥ることになる。

これまでに述べたような年金制度を維持すると、日本社会に深刻な分断を招く可能性がある。第一に、階層の分断であり、主に自営業者、自由業者とサラリーマンとの分断だ。厚生年金は企業が負担し、国の財政補助があり、財政基盤が安定しており、30年後の減少幅はわずか1ポイントだ。しかし基礎年金の減少幅は10ポイント以上になる。これはつまり、自営業者と自由業者の年金生活がより厳しいものになるということだ。第二に、世代の分断だ。同じように40年間保険料を払っても、現在65歳の人の年金の所得代替率は61.7%であるのに対し、現在50歳の人が退職年齢になったときは56.6%で、現在30歳の人は50.8%だ。こうした状況は社会に不公平感を引き起こし、若い人に保険加入への意欲を失わせる。

北欧などの高福祉国家と比べて、日本の政策目標は中負担・中福祉だ。しかし長年にわたり社会保障制度の改革は先送りされ、今や積み上がった課題を前に身動きできない状況に陥っている。日本の長期的な財政赤字と同じように、社会保障制度の改革も待ったなしの重要な時期にさしかかっている。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年9月6日

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