「日本で最強の節約ガール」にみる若者の消費観

人民網日本語版 2019年08月12日10:21

「お金と気力を貯めて、自分の好きな事に使う。これこそ自分に対して責任ある態度だと思う」。

咲さんという名前の日本人女性が、このところ日本と中国のSNSで注目を集めている。今年33歳の咲さんは、節約生活で3軒の不動産を買い、不動産業界から「引退」して、OL生活には戻らず、「日本で最強の節約ガール」として日々を送っている。

中国国内のメディアで、咲さんが購入した「1千万クラスの不動産3軒」というと、非常に裕福な印象を与えているが、「1千万」は人民元ではなく日本円で、不動産の所在地は日本の大都市の郊外で、北京・上海・広州の物件とは大きな差がある。

咲さんが27歳で初めて購入したのはアパート1棟で、9年間の蓄えで購入した。価格は1千万円、人民元にすると60万元あまりだ。平均すると、咲さんは毎年7万元、毎月6千元を貯めた計算になる。最初の家賃収入を得るまで、咲さんは極限の節約生活を送った。咲さんと同世代の中国人が自分の力だけで節約して、中国の一線都市で不動産を買うことは難しい。より重要なことは、中国の85後(1985年から1989年生まれ)や90後(1990年代生まれ)の間で、貯金はトレンドではないということだ。この年代の人々には上の世代とは異なる金銭感覚と消費観が染み込んでおり、よく利用されるローン、クレジットカード、消費者ローンといった個人向け金融サービスに共通する論理は「今日は明日の金を使う」ことだ。

咲さんをみていると、中国の多くの若者が失った素朴な資産観を見いだすことができる。慎ましい生活をして節約し、お金を貯めて投資や「生産の拡大」に回すことだ。

今は消費主義を信奉する人が多く、人生は楽しむべきものであり、条件が整わなければ整えるようにして楽しむべきだと考えている。そして今や中国国内にはさまざまな消費者ローンが流行っている。咲さんのような節約家は、中国の大都市では笑いものにされる可能性が高い。18歳から33歳まで、こつこつと節約してきた15年間、苦労を重ねた15年間は、節約するより楽しむべき人生で最も素晴らしい15年間ではないのか、というわけだ。

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