医学誌「ランセット」に最近掲載されたある報告によると、3分の1の低所得国と中所得国では、栄養失調と肥満の二極化が進んでいる。そのため、世界保健機関(WHO)は、新しい対策を講じて急速に変化する食料システムに対応するようにと呼びかけている。中国新聞網が報じた。
最新報告によると、世界の児童や成人約23億人が過体重となっている一方で、児童1億5000万人以上の発育が遅れている。同報告は、栄養失調と肥満はその先の何世代にまで影響を与えると警告している。
報告は、高品質の飲食を採用して栄養失調と肥満の蔓延を食い止めるようにと提案している。その主な方法は、赤ちゃんには2歳になるまで母乳をあげることや、果物や野菜を増やす一方、肉の割合は減らすこと、さらに、糖分や飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、塩分などが高い食品は控えることなどだ。
しかし、多くの国の食品システムは、過体重問題の深刻化と関係のある超加工食品の供給を増やしている一方、生鮮食品市場は少なくなっている。WHOは、「不健康な食物を食べると、2型糖尿病や高血圧、脳卒中、血管疾患などの非伝染性疾患を患うリスクが高まる」と警告している。
世界で肥満者が最も多いのは中国
「ランセット」が2017年に掲載した世界の大人の体重調査報告によると、その時点ですでに中国の肥満者数は米国を上回っており、中国は肥満者が世界で最も多い国となっている。
肥満がもたらす問題は、以前着ていた服が着られなくなるというだけのことではない。今年、中国疾病予防抑制センター慢性非伝染性疾患予防抑制センターが発表したある研究によると、2004年から2014年の10年間、中国では肥満者が急増した。2004年に3.3%だった中国の大人のリンゴ型肥満率(内臓脂肪型肥満)は、2014年に14.0%まで上昇した。
「リンゴ型肥満」は怖くないけど、「洋ナシ型肥満(皮下脂肪型肥満)」は怖いと感じている人も多い。洋ナシ型肥満者が、肥満者全体に占める割合は31.5%になっている。男女別に見ると、男性の洋ナシ型肥満率は30.7%、女性は32.4%となっている。お腹につかむことのできる脂肪があれば、洋ナシ型肥満になる日はそう遠くないかもしれない。
洋ナシ型肥満になる原因は何なのかと言うと、その決定的要素となるのは生活習慣だ。特に、近年、中国で肥満者が急増している主な原因は、長期にわたる運動不足や不健康な食習慣などだ。これは生活習慣の変化と密接な関係がある。
その他、毎日残業する状態が長期間続くと、「洋ナシ型肥満」の要因になるとする研究もある。その理由は、電気に照らされている時間が長くなり、体内時計が狂い、内分泌状態が乱れるからだと考えられている。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年12月18日