「キサントフィルは目を保護する」、「コラーゲンはアンチエイジングに効果的」、「乳酸菌は胃腸のバランスを整える」といったように、起床して顔を洗ったあと、マルチビタミンを湯冷ましで飲み下すことが、楊悦さん(23)の毎朝の日課となっており、「これを飲むと元気が満ちてくる感じがする」と話す。工人日報が報じた。
現在、楊さんのように健康食品をおやつのように食べ、ヘルスケアを日課としている「80後(1980年代生まれ)」や「90後(1990年代生まれ)」の若者たちが増加の一途をたどっている。ヘルスケア(養生)は、高齢者だけが関心を抱くテーマではなく、若者のライフスタイルにもなりつつある。
「ビールにクコ、コーラに党参を入れる」や「穴あきジーンズを履いて使い捨てカイロを貼る」、「夜更しをしながら、フェイシャルマスクをつける」といった従来とは全く異なる新たな「パンク養生法」が流行の兆しを見せている。また、睡眠計、保温マグカップ、健康茶、サプリメントなど従来のヘルスケア製品も、若者の間で売れ行きが好調になっている。
〇若者もヘルスケアに熱心
陸凡さん(31)は北京にあるインターネット関連企業でプログラマーとして働いている。自宅・職場に関わらず、陸さんの机の上は、さまざまな種類の健康食品が入った箱で埋め尽くされている。
陸さんは2006年、家族に薦められてプロテインを摂り始めた。「最初の頃はあまり気が進まず、体の調子も悪くないのに何でこんなものを摂取しなきゃいけないのかと考えていた。だが、しばらくすると、長年よくなかった胃腸の調子が少し改善されたので、続けるようになった」と陸さん。今ではプロテインや基本ビタミン類などのサプリメントだけでも彼は毎月、およそ1300元(約2万円)ほど費やしているという。
身体は革命の基本であり、失ったときに初めて健康を意識するのでは遅すぎる」と、せっせとヘルスケアに励む陸さんは、「アップテンポの日常生活、ストレスの大きい仕事、加齢による病気の若年齢化傾向、健康に対する意識向上はいずれも、若者たちがヘルスケアに取り組み始めた原因だ」との見方を示す。
2018年に発表された「国民健康関心度ビッグデータ」によると、30歳以下の若年層の間で、血管、血糖、高血圧、クコ、足湯、ショウガ、胃腸、肝臓ケア、尿酸、腎臓ケアなどがいずれも注目を集めたヘルスケア関係のホットワードとなった。
消費市場では、ヘルスケアに対する巨大な若者のニーズが生じている。生活関連サービス・プラットフォームのアリババ傘下「口碑網」が発表した消費ビッグデータによると、オフラインのヘルスケア市場利用者で若者が占める割合がどんどん高まっている。26歳以下の「90後」消費者のフットマッサージや漢方養生などヘルスケア関連消費が占める割合は29.6%に達した。
速途研究院が発表した「90後ヘルスケア報告」によると、国内で長期間健康食品を利用している90後の割合は21.9%、90後の約半数は時々使用しており、健康食品とは縁がないとする90後は3.9%にとどまった。
若者の健康ブームは、市場の活況を最大限後押ししている。業界関係者は、健康食品・ドリンク、フィットネス産業、美容産業など様々な分野を網羅するヘルスケア経済の潜在力は巨大だ。若い人のヘルスケア消費は、「全世代型ヘルスケア」時代において、決して侮ることのできない「ドル箱」だとの見方を示している。
きちんとした食事の補助的役割を果たすサプリメントの各メーカーは数年前から、分包タイプ、軽食化、最新デザインの新製品を立て続けに発売している。その中には、若いホワイトカラーにターゲットを絞った個性的な商品を出しているブランドもある。
〇ヘルスケア製品の理性的な消費
「2007年にヘルスケア情報に関心を持ち始め、関連製品にどれだけのお金を遣ってきたが、もうわからなくなった」と話す李華さんは、今年ついに三十路に突入すると同時に、子供も授かった。「年を取ると、ヘルスケアは切羽詰まった問題になる」と李さんは続けた。
以前はスキンケア製品の購入に熱心だった李さんだが、ここ数年はヘルスケア製品に変わった。中医の診察を受けた後、サプリメント粉末と中医薬を買う事にした。「ヘルスケアは、心理的な部分もあることは分かっている。何か特定のものを摂取すれば効果的だとは限らない。だが、ヘルスケアは運動と同じで、長期的に継続してこそ効果が表れると信じている」と李さんはきっぱり話す。
「ヘルスケア製品の種類が多すぎて、どれが私に最も合っているのかわからない」、「製品の効果については疑わしいが、まず試してみよう。少なくとも身体を損なうことはないだろうから」とする若者の多くは、「全世代型健康ブーム」の影響を受けているが、そのほとんどが「ブームに乗っているだけ」のようだ。
現在、市場では、「健康効果がある」と謳っている食品でも、「健康食品」の分類に属していないものも一部出回っており、統一規格が存在せず、玉石混交状態であることは否めない。電子商取引プラットフォームで良く売れている健康茶を例にとると、一部の消費者は、「某商店で販売されているティーバッグの中の原料が古いようで、小さな虫が入っているのもあった」とフィードバックしている。また、別の若者は、「ヘルスケア製品には、誇大広告、虚偽広告、情報による誘導、詐欺まがいの販売などの問題がある」と指摘している。
専門家はこれについて、「若者のヘルスケア経済は、まだブルーオーシャン(未開拓市場)状態であるため、かなりの商業価値を備えている。売る側は、詐欺まがいの行為を止め、製品の対効果価値を高め、製品により多くの独自の価値を与え、若者たちの消費ニーズや習慣を満足させるよう努めなければならない。若者も、自分の力に応じて対応し、ヘルスケア製品の理性的な消費を心がける必要がある」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年10月12日