日本のあるテレビドラマの最新シーズンで、来店した「中国人客」が会計をする際に、日本のレストラン経営者をよく慌てさせるフレーズを口にするシーンがあった。
「そっちがスキャンしますか?こっちがスキャンしますか?」
当たり前のようにQRコードスキャンをしようとすることは、日本ではどうやらすぐにその人が中国人だと分かる中国人共通の動作になっているようだ。
中国人の「QRコードスキャン」に対するこだわりで日本の店にも変化
その根本的な背景を探ってみると、一つの基本的な事実が浮かび上がる。それは、中国人の間でモバイル決済がすっかり普及しているということだ。その姿は、依然として従来の決済方法をやめようとしない日本において、当然ながらとても出し抜けに映る。
実際のところ、このテレビドラマでの描写はそのうちの一つにすぎない。日本人はさまざまな角度から、「スキャンして会計をするのは中国人」という見分け方をとうに編み出している。2015年頃、路上の焼き芋屋でも微信支付(WeChatペイ)や支付宝(アリペイ)に対応しているという写真が日本で拡散され、中国でモバイル決済がここまで普及していることが日本人を大いに驚かせた。
微信支付と支付宝に対応している路上の焼き芋屋の写真
2015年は、為替相場が円安になったことで、中国人観光客が先を争うようにして日本へ「爆買い」に出かけた一年だった。そのため、中国と日本の決済方式の「衝突」もその頃から激しくなり始めたと言っていいだろう。
当時、日本のほとんどの中小店舗や公共施設はモバイル決済に対応していなかった。日本の習慣をよく知らない多くの中国観光客が現金を持っていなかったために買い物ができずに割を食った一方で、本来なら成立していたはずの商品取引が行われず、店側としても多くの経済利益を得る機会を損失することになった。
中国人観光客が毎回口にする「どこをスキャンするの?」という心の底からの質問を前にして、モバイル決済に対応しないという立場を堅持していた多くの日本の業者も持ちこたえられなくなり始めた。
最初に行動を起こしたのは大型デパートで、それを機に大きな実益を得た。それからはモバイル決済なしの「原則を堅持」していた店舗や政府機関も徐々に抵抗するのをやめていった。モバイル決済について解説するさまざまな記事や自身の体験によって、彼らも中国人の「スキャンできないの?じゃあ買わない」という「QRコードスキャン」へのこだわりをはっきりと理解するようになったからだ。
しかし、もし今年また日本へ旅行に行ったとしたら、状況がまったく変わっていることに気づくだろう。