「(ショート動画共有アプリ)『抖音(Tik Tok)』をチェックして、ライブ配信を見ていると、お財布がどんどん軽くなる。ネット有名人が口紅や洋服、お菓子を試しているのを見ていると、ライブ配信のムードにあおられて購買意欲にたちまち火がつく」。ネット有名人が商品を紹介するネット・レコメンドのライブ配信を見て何度も商品を注文したことがあるという女性の許さんは、ネット・レコメンドについてこんな風に語った。「こういうムードの中にいると、衝動的な消費をしやすくなり、出遅れたら商品が売り切れてしまうのではないかと心配になる」という。「証券日報」が伝えた。
実際、許さんのケースはネット有名人によるネット・レコメンド経済の断片的なエピソードの一つに過ぎない。「2019年淘宝(タオバオ)ライブ配信生態発展情勢報告」によれば、2018年には淘宝のネット・レコメンドのライブ配信パーソナリティになった人は前年比180%増加し、淘宝のネット・レコメンドプラットフォームの「売上高」は1千億元(1元は約15.6円)を超えて同400%近く増加した。淘宝だけでなく、抖音や微博(ウェイボー)などのプラットフォームでも、ネット有名人によるネット・レコメンドが大いに人気を集めている。
「買って、買って!」 親しみやすいネット・レコメンド
「オーマイガー!」、「買って、買って!」、「これを知らない人がいるなんて許せない」……耳になじんだライブ配信パーソナリティ・李佳■(王へんに奇)さんの呼びかけの言葉は、消費者に対して魔法のような洗脳効果があるようにみえる。
業界関係者の話では、「従来の広告はブランドの格調を際立たせるため、内容の高級感、立派さ、クラス感により注意を払っていたが、ネット有名人のネット・レコメンドは双方向性が高く、内容はもっと親しみやすい。ネット有名人が消費者に代わり体を張って商品を試しているところに、消費者は最も心を動かされる」という。
有名上場ホームテキスタイル企業によると、同社はネット有名人の薇婭さんとの提携により、4千セット以上の商品がネットでの発売後、数秒で完売し、売上高は1秒で100万元を突破したという。
品質管理は「ダモクレスの剣」
業界関係者によれば、ネット有名人によるネット・レコメンドでは通常は売上高によってギャラが決まるが、大勢のファンがついている有名人は最低賃金(サービス料金)が決まっている場合もある。費用対効果(ROI)がライブ配信中や配信後に数字ではっきりと表れること、従来の広告よりもコストが低いことが、ネット有名人のネット・レコメンド経済が急速に発展する土台となった。
薇婭さんのサービス料金表を見ると、ネット・レコメンドには美容・化粧、食品、生活などいくつかのジャンルがあり、料金が一番高いのは美容・化粧だ。国産化粧品を紹介する場合のサービス料金は、4万5千元の最低賃金に売上高の35%がコミッションとなっている。海外化粧品の場合は5万5千元に15%のコミッションだ。参考までに衛星テレビの有名バラエティ番組の広告料金表を見てみると、最低価格が350万元となっている。
費用対効果がはっきりとわかりやすく、コスト面で明らかに優位性があるなど、ネット有名人のネット・レコメンドが新しいビジネスモデルとして急速に台頭してきた論理はすでに明確になっている。しかし最近しきりに発生するライブ配信中のトラブル、売上データの偽造、アフターサービスへの懸念といった問題が表面化し、ネット有名人のネット・レコメンド経済の弊害も白日の下にさらされた。中でも消費者が最も関心を寄せる品質管理の問題は、頭上につり下げられ、危険の身に迫っていることを教える「ダモクレスの剣」だといえる。
ライブ配信パーソナリティには切り札、トップ、スター、ネット有名人ブロガー、ボトムといった階層がある。業界関係者は、「トップのライブ配信パーソナリティは品質管理のチェックを相対的に厳しく行うようになるだろう」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年12月25日