患者の病情について話し合う医療スタッフ(資料写真、撮影・安源)。
春節(旧正月、今年は1月25日)は新たな1年の経済を見るうえで最も重要な目安となる。今年の春節、中国は上から下まで新型コロナウイルス感染による肺炎の感染拡大と戦うこととなった。感染者数の増加が変曲点に達するのが期待されると同時に、経済が明らかな打撃を受けるのではないかという懸念も広がっている。中国新聞網が伝えた。
この点について中泰証券チーフエコノミストの李迅雷氏は、「SARSが流行した2003年を振り返ると、中国の第1四半期から第4四半期のGDP成長率はそれぞれ11.1%、9.1%、10%、10%だった。第2四半期はGDPへの影響が最も顕著で、成長率が低かったが、それに続く第3、第4四半期には回復がみられた。以上から、この年の『SARS』の経済に対する影響は限定的だったことが分かる」と指摘した。
李氏はさらに、「新型コロナウイルス感染による肺炎の感染拡大が中国経済に与える影響は、悲観的に見れば1年、楽観的に見れば約半年にとどまるとみられ、影響が比較的大きい期間は今年の第1四半期で、半年後にはほぼ正常に戻るだろう。従って、新型肺炎で中国経済の長期的な趨勢が変わることはなく、中国経済が世界経済において地位を高めている状況が変わることもないだろう」との見方を示した。
野村証券中国エリア・チーフエコノミストの陸挺氏は、「需要と供給の両面から見て、新型コロナウイルスが中国経済に与える打撃はおそらく一時的なものになるとみられ、長期的な影響を与えるとは限らない。新型コロナウイルスによって抑制された需要と生産能力は、感染拡大の収束後に強い回復をみせるだろう。しかし、現在の経済成長鈍化の規模と回復の時期については新型肺炎感染拡大の進展状況次第であり、依然として不確定だ」と指摘している。
また李迅雷氏は、「長期的に見れば、新型肺炎が中国経済の成長に変曲点をもたらすことはないだろう。しかし、短期的に見ると、その影響を過小評価することはできない」と強調している。
さらに李氏は、「産業別では、第三次産業がまずその打撃を受ける。次が第二次産業で、最後が農林畜水産業になるだろう」と述べ、「論理的に言えば、新型肺炎が観光や飲食・ホテルなどサービス業に与える悪影響は最も直接的かつ顕著になる」との見方を示した。
また、中山証券チーフエコノミストの李湛氏も、「新型肺炎の経済、特に選択可能な消費業界に対する悪影響は避けられない。しかし医療業界とゲーム業界にとっては短期的に見てプラスになる」と指摘した。
李氏は、「新型肺炎によって貿易摩擦の緩和による経済回復が中断されることを踏まえ、2月以降、政府は反循環調整を強め、新型肺炎の経済に対する不利な影響を相殺するだろう」との見方を示した。
また李氏は、「成長安定・雇用安定・金融安定・貿易安定・外資安定・投資安定・予想安定という六つの安定のニーズと、さらに2020年は中国が複数の目標実現について評価を行う年であることを踏まえると、政府はおそらく2月に反循環調整を強めるだろう」との考えを示した。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年1月31日