中国の新型コロナウイルス感染の予防・抑制措置は最近、その対策がかなり功を奏している一方で、韓国や日本、イタリア、イランなどでは、感染状況が深刻化している。ウイルスとの闘いにおいて、国同士は経験や教訓を共有し合わなければならない。環球時報が報じた。(文・董向栄<中国社会科学院・アジア太平洋地域・世界戦略研究院研究員>)
まず、科学者やウイルスとの闘いの第一線に立つ医師らが得ている新型コロナウイルスに関する情報を可能なかぎり迅速に世界各国と共有する必要がある。今回のコロナウイルスは新型の未知のウイルスであるため、感染拡大を未然に防ぐことはできなかった。そして、大きな代償を払って、ウイルスに関する情報を得た。そのような情報であるからこそ、非常に価値があり、最大限活用しなければならない。
中国は直ちにウイルスのゲノムシーケンシングを解析し、ウイルスの感染力、潜伏期、重症化率などの特徴を研究、分析した。そして、得た関連情報をすぐさま世界保健機関(WHO)や他の国と共有し、他の国がその情報に基づいてウイルスとの闘いを展開できるようにした。呼吸器疾患の専門家・鐘南山院士が筆頭となり、2月9日に、オープンソースのオンライン医学雑誌であるmedRxivに、論文「中国2019新型コロナウイルス感染症の臨床の特徴」(その後、医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に正式に掲載)を掲載した。同論文には、中国全土30省・市の552病院の新型コロナウイルス感染者1099人の重症化率、潜伏期、発熱の症状などに関する非常に詳しい情報が記録されており、他の国が感染拡大防止対策を実施するうえで大いに参考にできる価値がある。
また、感染拡大状況を見ると、早期に警告を発令し、できるだけ早く対策を実施することが非常に重要であることは明白で、一部の国の系統的な対策は既に功を奏している。例えば、シンガポールの対策については、「仏系(仏のように物事に拘泥しない)」と評価する人もいるものの、実際には決してそうではなく、同国の衛生当局は早くも1月2日に全国の医療機関や医師に警告を発し、その後、雇用機関に対して、中国から来た従業員を強制的に休ませるよう求めるほか、水際対策を厳格化し、自宅隔離令などを出した。そのような早期に警報を発令し、できるだけ早く予防対策を実施したというのは、今のところまだ感染者が確認されていない国や感染拡大が深刻でない国が重視すべき経験だ。
また、他の国は中国が講じたいくつかの重要な措置を重視すべきだ。例えば、PCR検査能力を強化し、疫学に基づく濃厚接触者や感染の疑いがある人を調査し、できるだけ早く検査を実施しなければならない。これは、新型コロナウイルス感染拡大を防止・抑制するために重要な措置だといえる。