広州医科大学と澳門(マカオ)科技大学医学院の張康氏、広州医科大学の夏慧敏氏と協力者らは、中国の児童745人の新型コロナウイルス感染のスクリーニングを行った。うち10人の感染確定した児童には呼吸器疾患関連の軽い症状が見られた。研究によると、排泄物の検体から新型コロナウイルスを検出できる時間は鼻腔拭いよりも長い。ただ児童の感染に関する臨床・疫学的特徴をさらに明確にするためには、より大規模な研究が必要だ。関連成果は13日、「ネイチャー・メディシン」に掲載された。
新型コロナウイルスの世界の感染者は15日に15万3000人にのぼり、5700人以上の死者が出ている。成人に関する感染の疫学・臨床的特徴はすでに研究・報道されているが、児童の感染状況に関する研究・報道は少ない。
作者は745人の児童を対象に新型コロナウイルス感染のスクリーニングを行った。うち大半が感染者と濃厚接触しているか、家族に感染者がいた。児童10人(1.3%、生後2カ月から15歳の男児6人と女児4人)がウイルス検査で陽性反応を示し、新型コロナウイルス感染治療センターで治療を受けた。
児童7人に発熱(体温はいずれも39℃以下)があり、数人に咳、喉の痛み、鼻づまりなどの症状があった。これらの患者には成人患者によく見られる筋肉痛や頭痛といったその他の症状がなかった。彼らはいずれもウイルスにさらされたことで発見され、感染が確認された。自ら医療機関を訪ねたわけではない。また胸部X線検査では成人患者の典型的な特徴の一つである肺炎の明らかな痕跡が見つからなかった。作者は、この軽い症状により児童の感染者の早期発見・早期隔離が困難になるとしている。
作者はさらに全10人の患者の鼻腔拭い・直腸拭い検体を採取・分析し、ウイルスの呼吸器から胃腸への排泄(ウイルス排出)を研究した。うち8人の児童は鼻腔拭い検査で陰性反応が出てから長期間にわたり、直腸拭い検査で陽性反応を示し続けた。隔離時間の評価は現在、鼻腔拭いが中心的になっている。これらの結果は、胃腸検査が治療効果と完治に向けより正確な評価を提供できる可能性を示した。作者は、その他の呼吸器ウイルスと同様、経口感染が存在する可能性があると見ている。ただ、作者は、ウイルスが排泄物の中で複製できることを証明しなければ、経口感染の可能性を裏付けることができないと注意を促した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年3月17日