授業も仕事もすべてオンラインのどっぷり自宅待機モード

新型コロナウイルスに向き合う--中国にとどまる日本人(5)

人民網日本語版 2020年03月16日13:40

春節(旧正月、今年は1月25日)前後から急速に感染が広がった新型コロナウイルス。中国各地で春節休暇が延長され、学校は新学期開始を遅らせたり、オンライン授業に切り替えるといった対策がとられている。企業や工場も営業や操業開始時期の延期やテレワークへの切り替えを行い、2月下旬からは段階的に出勤や操業も始まっている。人民網ではこうした状況の中、中国で生活や仕事を続けている日本人を取材し、彼らの目を通して新型コロナウイルス影響下での日々を紹介していく。

松井美幸さん

「災害の中で改めて互いに知った日本と中国の交流の長さ」

北京に住んで24年目の松井美幸さんは、中国語教育専攻の博士課程に在籍中の学生、大学講師、茶道講師、そして翻訳者と、幾つもの「顔」を持っている。実はもともと、新型コロナウイルス肺炎の感染とは関係なく、勉強に専念するためこの冬は自宅に引きこもるつもりだったという松井さんだが、オンライン授業を受ける立場と行う立場、そして在宅勤務とすっかり「新型コロナウイルス自宅待機モード」の日々となっている。

久しぶりの指導教官の「マシンガントーク」に大いに刺激

現在、博士課程に在籍している松井さんだが、すでに必要単位は取得済みのため、学生としての授業はないのだという。ただ指導教官の授業だけはオンラインで受けているということで、「久しぶりに先生の2時間ぶっ通しマシンガントークを聞いて、やはりとても刺激になり、先生には会って授業を受けたい!と思ってしまう」とオンライン授業を受ける側としては満喫している様子がうかがわれる。

写真や映像を使い雰囲気を感じられる授業づくり

一方、大学講師としてオンライン授業を行う側でもある松井さん。もともと3月からの始業予定だったため、日程的には変更はなかったものの、授業がオンライン授業に切り替えられたため、2月中旬からその準備にあたふたすることになったという。3月から始まったオンライン授業では、日本語会話の授業をオンラインでできるのか最初は不安だったそうだが、学生たちもネット環境を整え、なんとか授業を進めているとした。

また大学での茶道の授業も本来ならば大学構内にある裏千家の茶室に正座して講義を聞いてもらい、茶道の実技も指導しているが、オンライン授業に切り替えられたため、実技の指導はできず、その代わり茶室や茶道の点前の写真や映像を見せるなどして、少しでも茶室の雰囲気を感じてもらえるよう工夫をしているそうだ。

茶道の活動は休講中、翻訳業は継続中

茶道裏千家北京同好会の講師でもある松井さん。その授業は茶室での対面方式となるため、現在は残念ながら授業ができない状態が続いているという。一方の翻訳業は、もともと在宅で行っていたこともあり、出勤等に影響はでていない。むしろこの機会にずっと放置していたホームページの日本語版を再構築したいといった中国企業からの依頼なども入っているのだという。

災害の中で改めて互いに知った日本と中国の交流の長さ

今回日本のHSKの事務所が中国に寄贈した荷物に書かれ、中国でも大いに注目された「山川異域、風月同天」。この件は中国の言語学の教師たちの間でも話題になったそうで、「なぜ日本人がこのような漢詩を知っているのか、作れるのか、に始まり、日本の災害時の言語政策なども中国に紹介され、改めて日本と中国との交流が長く続いてきたこと、言語面でも深いつながりがあったこと、日本に対する認識を少し改めた中国人もいたことを双方が認識したように思えた。これは災難の中でも良かったな、と感じられたささやかな事件だった」とした。

松井さんから武漢と中国の皆さんへの応援メッセージ

ネットで武漢の病院等での深刻な状況を見ると心が痛みます。そんな大変な状況でも生活インフラが動いているということは各所で働いてくださっている方がたくさんいらっしゃるということで、大変な状況の下でも日々働いてくださっている皆様に感謝しかありません。一日でも早く収束に向かいますよう祈っています。(文・玄番登史江)

「人民網日本語版」2020年3月4日

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