新型コロナウイルスによる肺炎が世界中に広がり、これまで「祭壇」に鎮座していた米アップル社も自分たちだけうまくやっていくことはできなくなった。ティム・クック最高経営責任者(CEO)がこのほど発表した公開書簡によると、中華圏を除いて、世界のアップル店舗を一時休業にするという。ECシステムが非常に発達した中国でも、店舗休業と感染症の影響により、iPhone(アイフォーン)の売り上げは60%減と大幅に減少しており、中国以外の国ではさらに厳しい打撃に直面することが予想される。2020年はアップルにとって最も厳しい1年になるかもしれない。「北京商報」が伝えた。
海外での売り上げが低迷
クック氏は公開書簡の中で、ウイルスが原因で、中華圏以外のアップル店舗を一時休業にし、休業措置は3月27日までとした。
クック氏は3月27日までとしたが、これ以前の中国での経験を踏まえると、世界の感染状況が深刻なエリアの店舗が、2週間で再開されることはおそらくない。アップルは2月1日に中国公式サイトで公告を発表し、大陸部のアップルストア42店を2月9日24時まで一時休業にすると発表したが、北京市の5店が営業を再開したのは2月14日で営業時間も短かった。天津市の3店が再開したのはそれから1ヶ月も経った3月13日のことだ。
海外でのオフライン実店舗の休業が、アップルに与える損失は言うまでもない。クック氏はオンライン店舗は引き続き公式サイトで営業しているとするが、中国の非常に発達したECシステムに比べて、海外のECシステムは見劣りすると言わざるを得ない。
通信専門家の康◆(金へんにりっとう)氏は、「西側社会では実店舗で買い物する方が好きな人が多く、特に携帯電話のような電子製品は、オフラインの売り上げの割合がより大きい。よって店舗休業によりアップルの3月と4月の売り上げは大幅に減少することになるだろう」との見方を示した。
アップルの中国出荷量が6割減少
中国ではすべてのアップル店舗が再開したとはいえ、賑わいは以前と比べようもない。
北京市の朝陽大悦城の1階にあるアップル体験型店舗をのぞくと、普段に比べて、来店者の数は半分以上少なく、入り口にいるスタッフが来店者一人一人の体温を測り、スタッフは全員マスク姿だった。
普段のこの店舗では、スタッフがそれぞれ来店者に製品の説明をしたり、アフターサービスを提供したりしているが、この日は半分ほどが手持ちぶさたにしていた。話を聞いてみると、「来店者のほとんどがアフターサービスを受けるために来た人で、普段は人でいっぱいの販売カウンターはガラガラだ」という。
幸い、海外での緩慢な物流ペースに比べ、中国のECシステムは物流やモバイル決済も含め、世界に高く評価されている。康氏は、「中国では、アップルはオンライン売上高の割合がかなり高く、オフライン店舗は数が多いが、中国の消費者の多くはオンラインでアップルのスマートフォンを買っている。これは主に価格が異なるためだ。アップルスマホの販売業者が提示する価格は直営店舗の価格よりも安いことが多く、さらにECプラットフォームではさまざまな購入補助金がプラスされる」と説明した。
しかしそれでも、中国情報通信研究院が発表したデータをみると、2月の中国国内の携帯電話市場の総出荷量は638万4千台だった。そのうちiPhoneは49万台で、前年同期比60%減少した。
今までで一番寒い冬に