世界では人工呼吸器がどれくらい不足しているのか? (3)

人民網日本語版 2020年04月01日10:46

50数ヶ国が輸出規制 世界で「増産競争」が展開

目下の感染状況が最も深刻な米国、イタリア、スペインの3ヶ国以外でも、人工呼吸器には非常に大きな需要がある。英国では、国民保健サービス(NHS)が約8千台を擁するが、総需要は3万台だという。ジョンソン政権は、新たに設計された人工呼吸器を購入する、現行の生産量を拡大する、海外から輸入するという3つのルートで問題を解決しようとしている。英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、英国からの注文で世界中のサプライヤーは手が回らなくなっている。真空掃除機会社のダイソンも英政府から人工呼吸器1万台を受注したが、設計から生産までゼロの状態から始めなければならず、実際にいつ製品を引渡しできるかは、監督管理当局のテストにいつ合格するかによるという。

カタールの衛星テレビ局のアル・ジャジーラは公式サイトで、「英国より医療環境が劣る国はこれから直面する情勢がより厳しいものになるだろう。たとえば西アフリカのマリは、人口が1900万人にも達するが、国内には人工呼吸器が56台しかない」と伝えた。アフリカ疾病コントロールセンターによると、アフリカ諸国は富裕国と接触して、人工呼吸器の供給を要請し、今後の感染状況の悪化に備えようとしている。しかしスイスのザンクトガレン大学が最近発表した報告によれば、今年初めから3月21日までの間に、54ヶ国が医療物資の輸出規制措置を相次いで打ち出し、対象には人工呼吸器が含まれていた。現在、医療用人工呼吸器を輸出する国は25ヶ国あり、中南米は1ヶ国だけ、アフリカ、中央アジア、中東、南アジアには1ヶ国もないという。

統計によると、欧州連合(EU)では人工呼吸器の不足数が少なくとも2万5千台にも達するという。米経済誌「フォーチュン」は、「世界規模でみると、人工呼吸器への需要が現在の医療機関が保有する台数の10倍になる。世界の需要はメーカーの限界に達したと同時に、『増産競争』も起きている」と伝えた。

ドイツ紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」の報道では、世界各地のメーカーはどこも生産能力を引き上げており、現在はスイスのハミルトン、ドイツのドレーゲル、スウェーデンのゲティンゲ、中国の北京誼安医療系統股フン有限公司(フンはにんべんに分)などで市場シェアの半分を担う。ハミルトンはさまざまな措置を取り、たとえばマーケティング担当者を生産ラインに配置するなどしており、生産量が昨年の1万5千台から今年は2万1千台に増える見込みだ。ハミルトンによると、「目下の最大の問題は供給チェーンが不安定なことで、当社の原材料ストックは3ヶ月しかもたない。今後については中国などのメーカーが原材料を迅速に供給できるかどうかにかかっている」という。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年4月1日

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