新型コロナウイルスが猛威をふるっていた期間中、携帯電話の電波を求めて雪山の山頂に登り、そこでオンライン授業を受けていたチベット族の女子学生を覚えているだろうか。

この女子学生は斯朗巴珍さん。江蘇食品薬品職業技術学院で学んでおり、実家は西蔵(チベット)自治区西部の昌都(チャムド)市波格村にある。村は周囲を雪山に囲まれ、地勢が低く、通信電波が安定していない。しかしオンライン授業は毎日行われており、彼女を気が気でなくさせていた。

斯朗巴珍さんは毎日、家の近くにある山頂に登るしかなかった。山頂では携帯電話の電波が強く、ネットに接続して授業を聞くのもスムーズだからだ。そのため、斯朗巴珍さんは30分かけて歩いて山を登り、石を椅子に、自分の膝を勉強机にして授業を受けていた。山頂の気温は正午でもマイナス3度しかないにもかかわらず、いったん授業を受け始めると4時間も座り続けていた。

しかし斯朗巴珍さんは、「寒いし、苦労もしたけれど、同級生たちと一緒に先生の授業が受けられるのは最高の気分」と語っていた。知識への渇望と学びへの思いが、多くのネットユーザーの涙を誘った。

このショート動画がネット上で流れると、中国移動昌都分公司はすぐさま行動を起こした。彼らは連夜緊急で人員と物資を手配し、斯朗巴珍さんのためにオンライン授業の問題を解決した。チャムド市中心部から波格村までの道のりはわずか80キロだが、連日の降雪により、山間部の道路はぬかるんで滑りやすく、作業員らは6時間かけてようやく斯朗巴珍さんの家にたどり着いた。

現地での実地調査の結果、斯朗巴珍さんの家は周囲がすべて雪山に囲まれているため、基地局からの電波が山に遮られてしまい、斯朗巴珍さんの家の向かい側にある山の上に新しく基地局を設置することでしか、オンライン授業を受けたいという彼女のニーズを満たせないことが分かった。
新しい基地局の建設コストは20-30万元(1元は約15.15円)の間で、それ以降のメンテナンスコストも高い。辺鄙な村だけのために新しい基地局を設置しても、その通信収入では基地局の電気代すらまかなえないだろう。商業的には成り立たないが、それでも彼らは道義上の理由で設置を決めた。

山頂まで道路が通じておらず、車両が上がっていけないため、作業員らは重さ50キロ以上の設備を手で持ち、担ぐなどして山の上まで運び上げた。2月27日、波格村で初となる中国移動4G基地局が正式に開通し、家でオンライン授業を受けたいという斯朗巴珍さんの願いがかなえられた。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年3月30日
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