新型コロナウイルスの発生源が自然界であることはすでに、世界の科学者の共通認識だ。世界保健機関(WHO)によると、現時点で約1万5000の新型コロナウイルスゲノム配列がこれを力強く証明している。だが新型コロナウイルスの大流行により、生物実験室がこれまで以上に注目を浴びるようになった。これらの実験室は何を行っているのか、その安全防護措置は効果的か、そしてその存在は人類の安全にとって脅威になるのか。こうした疑問は理にかなっており、答える必要がある。環球時報が伝えた。
米政府は最近、武漢ウイルス研究所の実験室が新型コロナウイルスの発生源であるとして公然と批判しているが、このまったく根拠のない政治的な罠は世界の科学者からの反対に遭っている。米国の同盟国でさえ、米国による非難は責任転嫁の目的が露骨だとして関与を避けている。米政府は言い直しを余儀なくされ、「可能性がある」という限定詞をつけ加えた。
我々は結論ありきの調査に反対だ。特に遺伝子配列により発生源が自然界と証明されていることから、世界のいかなる実験室に対してであっても責任転嫁の非難に反対する。それと同時に我々はWHOが査察の役割を果たし、世界の実験室に対し大々的な安全調査を展開することを主張する。
周知の事実だが、米国の生物実験室は最も多く、研究範囲も最も広く、最も「神秘的」だ。さらに米国は国連の「生物兵器禁止条約」の検証方法を定めた議定書作成に強く反対している。ゆえに米国は最も国際社会による透明な形の調査を受ける義務がある。
米メリーランド州フォート・デトリック基地の生物実験室が昨年8月に閉鎖され、このほど稼働再開となったことは、新型コロナウイルスに関する多くの憶測を呼んだ。陰謀論についてはひとまず置いておくとして、米メディアが伝えた米疾病予防管理センター(CDC)のその後の発表によると、閉鎖の原因は廃水浄化システムの問題だった。これは少なくとも同実験室の安全性に深刻なリスクが存在するということで、自ずと調査の重点対象の一つになるべきだ。
USAトゥデイは2015年、米国の生物実験室によるさまざまな事故を報じていた。同紙のデータによると、米国各地の実験室は06-13年の間に連邦監督管理機関に、病原体関連の事故を1500件以上報告した。これには漏洩、個人防護設備または機械システムの故障のほか、針が刺さったり、動物に噛みつかれたりするといった内容もあった。15人が実験室内の事故または規定違反の操作により感染した。同紙はさらに多くの科学者が感染後に死亡した例を挙げている。
米国は科学力が高い国であり、実験の安全面の議題を設定する多くの権力を持ち、しかもこの権力を地政学的な目的に用いる傾向が強い。米国は他国に対する非難、例えば今回の中国への非難などには本腰を入れて取り組むが、自国の問題については灯台下暗しだ。
米国内のほか、米政府は近年、ソ連解体により残された科学的資源と政治的空白を利用し、ロシア周辺の独立国家共同体諸国で多くの生物実験室を設立しており、米国本土の実験室よりもハイリスクな実験が行われていると疑われている。こうした実験室の研究内容、その安全防護の信頼性は、国際社会の重点的な注目対象になるべきだ。
今回の感染症との闘いは、米国の管理に関する体系的な混乱を露呈し、かつて世界トップとされていた重要な能力が非常に劣っていることが証明された。米国の大量の生物実験室の安全防護が基準を満たさない可能性があるとみられ、中には外部にひた隠しにする「ごまかし」が存在すると疑う根拠は十分だ。国際社会は今回の感染症を通じ、米国の生物研究を規範化するとともに、基本的な透明性を持たせるべきだ。
米国は国際生物研究分野における特殊なメンバーであるべきではない。リスク調査及び新型コロナウイルスへの理解を深めるための重要データの提供について、米国の多くの実験室には外部に扉を閉ざし検査を免除される権利はなく、査察と検査を受ける最前列に立つべきだ。米国には実験室が余りにも多く、その管理主体と管理手段も非常に異なるため、国際社会を納得させられるような整理が必要だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年5月19日