日本のオンライン文学の作者はどうやって稼いでいるか (3)

人民網日本語版 2020年06月11日09:46

こうしたコンテンツリメイク方式は日本ではメディアミックスモデルと呼ばれ、中国映画産業で盛んに用いられているキャラクター(IP)の考え方に似ており、通常は何らかのメディアの作品をベースとなるオリジナル版とし、一定の人気と認知度を獲得した後、プラットフォームを超えたリメイクを行い、さまざまなメディアの作品を派生させる。

業界関係者は、「安定した巨大な文化産業の伝統に支えられて、日本のオンライン文学は伝統的産業とは異なる独自発展の道を歩むのではなく、伝統的出版業界にぴたりと寄り添い、また伝統的出版業界に新たな活力を絶えず注入してきた」との見方を示す。

日本のサブカルチャー記者の飯田一史氏の著書「ウェブ小説の衝撃」で紹介された調査結果によると、日本のウェブ小説市場の付加価値が非常に急速に増加しており、大型書店の蔦屋書店のベストセラーランキングでは、ウェブ連載発の小説が半分以上を占めるという。公開されたデータでも、ウェブ小説専門出版社のアルファポリスは、14年から16年にかけて収益が徐々に増加し、利益率は30%前後に達し、業界全体としてもかなり目を引く成果を上げている。

サイトと直接協力して設立される文学賞もかなり増えた。「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」は12年から小説投稿サイト「e☆エブリスタ」に連載されたミステリー小説で、13年に同サイトと角川書店が共催するコンテストで受賞した。

飯田氏の調査によると、「この小説はネットに連載されたものだが、文字の密度が非常に高く、ネット連載作品によくみられる大量の余白もなく、オンライン小説よりも、紙の小説の創作方法を参考にしており、『トレンドの逆をいく』作品だと言える。しかし受賞のポイントはネット連載時のクリック数ではなく、受け手と作品のブランドが融合しているかどうかがより考慮される。そうして、『トレンド逆行』のニッチ小説『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』があまたあるオンライン小説の中で抜きんでた存在となり、日本の書籍、映画、漫画アニメの伝統との融合に成功した」という。

また飯田氏は、「これまで日本の作者は雑誌や新人賞への応募で注目を集めてきたが、日本では今、出版業界が全体として不況で、オンライン小説がこうした役割を代わりに担い、より多くの小説家が発掘されるようにしている」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年6月11日

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