世界銀行は8日に発表した最新の「世界経済見通し」の中で、新型コロナウイルス感染症により2020年の世界経済の成長率はマイナス5.2%となり、1870年以降で最大の落ち込みになるとの見方を示した。このうち先進国はマイナス7.0%、新興エコノミーはマイナス2.5%と予測した。世銀は、「感染症と企業の倒産が引き起こした不確実性がさらに長く続けば、この数字はさらに下方修正しなければならない」と警告した。
先進国がそろって景気後退
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は世銀の見方を引用し、「大恐慌と2度の世界大戦後という3回のさらに深刻な不況の時でさえ、これほど多くの国に影響が及ぶことはなかった」と報じた。世界銀行の「見通し」によれば、「来年には世界経済は回復に転じ、成長率は4.2%になる」という。報道は、「国際通貨基金(IMF)が今年4月に発表した『世界経済見通し』と比べ、世銀の見通しのほうが明らかに悲観的だ」と伝えた。
同紙の報道によると、世銀は、20年の米国経済成長率をマイナス6.1%とし、来年には回復に転じて4%になると予想している。全米経済研究所(NBER)が8日に発表した報告では、米経済は今年2月から景気後退期に入り、10年に及ぶ経済拡張期が終了したと指摘されている。フランス通信社(AFP)の9日付の報道では、ユーロ圏の経済成長率はマイナス9.1%と予想される。フランスの経済成長率は今年は約10%のマイナスになり、22年中ごろになるとようやく公衆衛生の危機前の水準に戻り、21年は7%になるものの、同年中ごろには失業率が11.5%を超える見込みだ。また日本の経済成長率はマイナス6.1%になるという。
同じ日にオックスフォード・エコノミクスのチーフエコノミストであるマーティン・ベイカー氏は、「英国の20年の国内総生産(GDP)は8%減少し、21年末まで回復は難しい。最悪の状況であれば、GDPは15%減と大幅減少する可能性もある」と述べた。
中国など少数の国が成長を実現
英紙「フィナンシャル・タイムズ」の9日付の報道では、ここ数週間の間に、感染症は先進国からブラジル、ロシア、インドなどの大型新興国へ伝播し、感染症の蔓延を断ち切るために実施された封鎖措置によりますます大きな経済的代償が支払われたという。同紙が引用した世銀の予測では、新興エコノミーと発展途上のエコノミーは今年、少なくとも60年ぶりに成長率がマイナスになり、中南米とカリブ海地域の経済活動が最も大幅に減少し、減少幅はGDPの7.2%に相当するとみられる。その一方で、東アジア地域と太平洋地域は影響が最も小さく、0.5%の成長率を達成すると予想される。感染症により世界の1人あたり収入は3.6%減少し、発展途上国では1億人以上が極端な貧困状態に陥り、1日あたりの収入は1.90ドル(約203円)以下になるという。また世銀は、中国は今年経済成長を達成する数少ない国の1つになり、21年は回復に転じて成長率が6.9%に達すると予想した。
インド紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」が9日に引用した世銀報告の内容によると、一部の財政・金融活性化措置のサポートはあるものの、ウイルスの伝播を抑制するための厳格な措置が経済活動を大幅に抑制しているため、製造業や建設業、サービス業などいくつかの重点分野の活動停止が全体の成長に影響を及ぼすようになるにつれ、インド経済は20年から21年にかけて成長率がマイナス3.2%に落ち込むと予想されるという。
同報告はさらに、世界の成長率鈍化と金融機関のバランスシート調整圧力の波及効果も経済活動の足を引っぱることになると補足している。19-20年に、インドの経済成長率は4.2%に低下し、11年ぶりの最低水準に落ち込むとみられ、これと同時に一部の経済指標からも経済成長の急激な落ち込みがうかがえるという。また「ザ・タイムズ・オブ・インディア」は、農業はほぼ封鎖措置の影響を受けないため、農業分野が成長をみせる唯一の分野になるとみられ、インドの農業生産量は大幅に増加することが予想されると伝えた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月11日