中国の一人暮らし約1億人 一人になりたい人が増えるのはなぜ? (2)

人民網日本語版 2020年07月14日10:20

「社会化された動物」である私たちは、高度な分業協力に完全に依拠する現代社会の中にいながら、なぜ群れから離れて一人を選び、他人と距離を取って生きようとする人がますます増えているのか。3つの要因が考えられる。

1つ目は寿命が延びて一人暮らしの可能性が高まったことだ。一人暮らしのうちかなりの部分は離婚や死別で一人になった人だ。かつて、日本の社会学者の上野千鶴子氏が「おひとりさまの老後」という著書を出版した。上野氏によると、生命の旅路が長くなるほど、残されて一人で歩き続ける可能性が高まる。結婚してもしなくても、誰でも最後は一人になるという。同書は一人暮らしの高齢者に実用的な生活のテクニックを伝え、どうやって体面と優雅さを保つかを教えてくれる。

2つ目は多様化した価値観により、さまざまなライフスタイルが奨励されていることだ。結婚を迫られる若い人の多くは親に自分の考え方をわかってもらおうと努力している。結婚の目的は幸せになることで、ふさわしくない相手とだったら、無理して合わせるより結婚しない方がいい。結婚で重視するのはするかしないかではなく、いつするかだ。こうして初婚年齢がどんどん高くなり、一人で生活する時間も長くなっていく。

3つ目は市場が豊富なサービスを提供し、一人暮らしが便利で可能性に満ちたものになったことだ。経済発展が巨大な富を生み出し、福利厚生や社会保障がますます充実し、単身世帯が家族の支援を受けなくても生活できるようになり、個々人も家族の保護を受けなくても生きているようになった。研究結果が示すように、婚姻率と出生率は女性の教育レベルおよび経済レベルと反比例する。市場は敏感で早くからおひとり様経済の価値に気づき、こうしておひとり様向けレストラン、1人分火鍋、個人向けカラオケボックス、単身者向け保険などのおひとり様向け商品が新たに次々と登場した。こうした商品により、おひとり様は一人暮らしをするのがより平気になり、さらには一人暮らしを楽しめるようになっている。

一人暮らしには一人暮らしの気ままさがある。自分が食べていければそれでよく、誰かに対して責任を負うことはない。人との距離が近すぎて傷つくことを心配しなくて済む。パートナーと折り合う必要はない。独立した空間で何の束縛も受けずに、心ゆくまで安全な感覚を楽しむことができる。

しかし一人暮らしには一人暮らしの悩みもある。以前ネットに掲載されたグラフによると、孤独には10段階あり、最高レベルは一人で手術を受けに行くことで、これはおひとり様にとって非常に現実的な苦悩だ。経済力が一人暮らしを保障するものだというなら、健康は一人暮らしの基礎だ。ここでいう健康とは、体の健康だけでなく、強い心も指している。SNSでどれだけ輝いていても、グループチャットでどれだけ盛り上がっていても、孤独感は一陣のすきま風のように窓から入ってくる。SNS時代の中、人とのつながりがより親密になり、友人がより増えたように見えるが、本当に気持ちを通わせ、悩みを共有し、不安を和らげてくれる人はそれほど多くない。SNSの盛り上がりは時に灯火の下の孤独な影をよりくっきりと映し出す。自分一人の時間を楽しく過ごせるようになること。これがおひとり様の必修科目だ。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年7月14日

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