このところ、四川省の三星堆遺跡から発掘された青銅器などの出土品がしばしば話題となっている中国。同時に、連休期間中などの人気の目的地として博物館にも注目が集まっている。今回は中国においてここ数年、若者たちを中心に人気が高まっている博物館について紹介していこう。人民網が伝えた。
高まる博物館人気
悠久の歴史をもつ中国は、当然ながら博物館も少なくない。その数は年々増え続け、2020年末時点で中国全土における届け出済み博物館の数は5788館に。2010年の3415館と比較すると、この10年で2000館以上増加していることがわかる。
博物館の増加は、国の政策の一環であることも関係しているが、人々の文化や芸術、歴史などに対する興味の高まりを示しているともいえる。そしてこうした博物館ブームの火付け役となったのが、故宮博物院だ。文化財修復を取り上げたドキュメンタリー番組や国宝を紹介する番組、さらにはオシャレでバラエティに富んだ文化クリエイティブグッズなど、斬新な試みを次々と展開していくことで、若者たちの心をつかんだ。ここ数年は、各地の博物館もこうした試みに追随するだけでなく、少しずつ独自の方向性も出し始めている。
博物館の新たな楽しみ
博物館の新たな楽しみ方という点で、人気を集めているうちの一つが、ナイトミュージアム。昼間と異なる表情を見せてくれる夜の博物館は、親子連れだけでなく、ナイトエコノミーを背景に、仕事帰りの若者をも惹きつけている。展示方法もVRなどのデジタル技術を活用したり、3Dプリント技術を使ってリアルな模型を作り上げたりと、若者の興味を惹きやすいようなスタイルを数多く取り入れている。新型コロナ感染拡大期間中は、オンライン博物館も目覚ましい発展を遂げ、「家にいながら博物館めぐり」を実現した。
バラエティに富む文化クリエイティブグッズ
そして博物館の魅力を瞬く間に広め、大きな経済的効果を上げたのが、博物館が打ち出している各種文化クリエイティブグッズだ。故宮博物院が打ち出してきた手帳やマスキングテープを始めとする文具や口紅などのコスメ商品は新商品が出るたびに大きな話題となっているほか、ブラインドボックスと文化財の発掘作業を組み合わせるというアイデアで人気を集めた河南博物院、西域ならではの鮮やかな色合いでユニークなグッズを打ち出している敦煌博物館などそれぞれの特色がグッズに反映されてきているようになっている点も見ていて楽しい。またこうした「使う」グッズだけでなく、近年はアイスやスイーツといった「食べる」グッズも話題を集めている。
新型コロナの影響から、今も中国の博物館の入場は予約制となっており、入場人数も制限されているものの、連休のたびに博物館人気の高さがしばしば注目を集め、報道されるようになってきている。まだまだ日本から中国を訪れることは難しい現状だが、オンライン博物館などで、そんな中国の博物館を楽しんでみるのもいいかもしれない(文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。
イラストで知ろう!イマドキ中国
人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。
「人民網日本語版」2021年6月28日