塔吉克(タジク)族の男性・阿米爾·買買提薩比爾さん(78)は、毎年11月になると寒さが厳しくなるパミール高原まで馬に乗って行き、よく肥えたヤク1頭を自ら選んで地元の小学校に寄贈し続けている。人民網が報じた。
阿米爾さんは新疆維吾爾(ウイグル)自治区喀什(カシュガル)地区塔什庫爾干(タシュクルガン)タジク自治県大同郷阿克托尕蘭干村に住んでいる。
ヤクは夏を過ごす牧場から冬を過ごす牧場へと移る時期が一年で一番肥えている。阿米爾さんは2011年からこれまで10年間にわたり、毎年タジク自治県大同郷小学校にヤク1頭を寄贈し続けてきた。ヤクの畜産は、タジク自治県の特色ある伝統産業であり、ヤクはタジク族にとって重要な収入源でもある。
11月19日、阿米爾さんは付き添いの家族と一緒に、ヤクが冬を過ごす牧場にある住まいへと移動した。
大同郷阿克托尕蘭干村の集合住宅。
阿米爾さんは、「2017年に、政府が建設した住居・安居富民房に引っ越した。水、電気、交通アクセスなどがとても便利」と話す。
阿米爾さんが住む村は、パミール高原の奥地にあり、県の行政中心地から189キロ離れている。村の人々の住居は峡谷や河の両岸に分布している。ヤクを冬を過ごす牧場から居住地に移動させるためには、10時間以上を必要とするため、往復に少なくとも1日かかる。
阿米爾さんは、「私たちは新中国の懐に抱かれて育った。党や政府が私たち一家が豊かな生活を送ることができるようサポートしてくれた。自分にはヤクを育てることくらいしかできない。郷のたくさんの子供が学校の寮で暮らしており、牛肉や羊肉を食べて栄養を摂らなければならない。だから、ヤクを学校に寄贈している」と語る。
タジク自治県大同郷小学校には児童116人が在籍している。うち、幼稚園の園児が49人で、残りは1-3年生の小学生だ。農牧民の住居は各地に散らばっているため、児童の登校の安全を考慮し、学校の近くに住んでいる児童を除く50人が寮に住んでいる。そして、学校が食事も提供している。同校の児童は4年生になると、県の行政中心地にある学校に通うようになる。
ヤクを下山させる阿米爾·買買提薩比爾さんと家族。
「党や国がタジク自治県の教育のためにたくさんの資金を投じてくれているため、子供たちは無料で学校に通うことができる。子供たちのために自分ができることがあって、とてもうれしい」と話す阿米爾さんは11月21日、家族と一緒に選んだヤクを下山させ、車が通る場所まで行って、トラックを探し、ヤクを学校に運んだ。
在大同郷阿克托尕蘭干村タジク自治県民政局活動グループのグループ長・玉蘇甫江·吐爾遜氏は、「阿米爾さんは高齢で、目も患っているが、毎年ヤクを選ぶために牧場に行くことを続けてくれている。その道のりは険しく、川を越え、山を登らなければならず、往復に2-3日はかかる」と話す。
阿米爾さんとタジク自治県大同郷小学校の児童たちの記念写真。
大同郷の農牧民・巴合提亜爾·其拉克さんは、「ヤクは私たち農牧民にとって最も高価なもの。うちの子供も阿米爾さんが寄贈してくれたヤクの肉を食べたことがある」と話す。
阿米爾さんは、「故郷の建設には次の世代の力が必要。子供たちが健やかに成長すれば、故郷はどんどん良くなるに違いない。生きている限り、ヤクを寄贈し続ける」と話した。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年12月8日