六中全会

料理が苦手でも大丈夫?ものぐさ調味料が若者の「神アイテム」に

人民網日本語版 2021年12月15日13:20

調味料企業の創業者にとって、若者の味に対するニーズが今、新たな市場を開拓していると言っていいだろう。天眼査のデータによれば、2021年11月末現在、中国には複合調味料関連企業が4800社以上あり、そのうち59%を占める2800社あまりは創業から5年以内の若い会社だ。「中国青年報」が伝えた。

料理スキルがないため、調味料頼み

1年前に偶然買った蟹粉醤(蟹の身と蟹みそを使った調味料)が、「90後(1990年代生まれ)」の何雨さん(女性)の「料理スキル向上の扉」を開いた。

何さんはこう話す。「当時、グルメブロガーの動画で、蟹粉醤のことを『3分で蟹の身入りまぜそばができる』と紹介していたのを見て、ちょっと興味を引かれてとりあえず1瓶注文してみた。使ってみた感想は、確かに便利。電子レンジでスプーン2杯分ほどを温めて、ゆでた麺にかければ、ものの数分でできあがり、味もいい。それから酸湯肥牛(酸味と辛味をきかせた牛肉のスープ煮)、紅焼肉(豚バラ肉の角煮)、水煮魚(四川風魚の辛味煮込み)、鶏の照り焼きなどの調味料パックも試してみた。作り方はとても簡単で、自分のような料理があまり得意でない者でも、こういう調味料パックさえあれば、いろいろな『定番料理』が作れるようになる」。

何さんが使った蟹粉醤も調味料パックも複合調味料の部類に入る。

複合調味料とは、2種類以上の調味料を原料とし、それぞれの加工プロセスを経て製造されるものだ。醤油や酢などの単一調味料に比べ、味はより多彩で、使い方も簡単かつ標準化されているため、よく「ものぐさ調味料」などと呼ばれる。

以前は、複合調味料は主に食品加工産業と外食産業で利用され、特に味や手順が均一化されたチェーンレストランで利用されてきた。しかしここ数年は、「あまり料理ができない人」が厨房に入る機会がますます増え、複合調味料はこうした料理初心者たちの「スキルは低いが、味に対する要求は高い」ことによる現実的なニーズにぴたりとはまった。利用シーンもレストランの厨房から若者のキッチンへと徐々に広がっていった。

若者のキッチン事情を調査した「2021年青年『カリスマシェフ』修行実録」によると、回答者の36.6%が「料理する割合は週に数回」と答え、12.7%は「毎日料理する」と答えた。「料理で失敗」したことのある人の中には、「成功例はないけれど作り続ける」というチャレンジャーも少なくない。

スキルはそこまで高くないが料理は大好きという若者は、便利で調理しやすく、味が安定した料理スタイルを追求している。そこで、複合調味料の出番になるというわけだ。

北京大学第一病院臨床栄養科の竇攀副主任医師は、「食べ物の美味しさに対する要求が、若者が複合調味料を選ぶ理由だ。若者は生活リズムが速いが、その一方で、時間をかけて煮込んだり調理したりして出来た食べ物を味わいたいとも考えている。複合調味料は味が豊富で、料理をより美味しくし、味もスピードも求める若者のニーズを満たしている」と述べた。

中国食品産業アナリストの朱丹蓬氏は、「ある意味で言うと、複合調味料は今や料理スキルのない若者の硬直的需要になった」との見方を示した。

新たなチャンスを育む

ここ数年、調味料産業の伝統的ブランドや、調味料業界以外の食品・コンテンツプラットフォーム企業などが、複合調味料産業で一角を占めるべく努力を重ねている。

恒順醋業や千禾味業など単一調味料を主業務にする企業が、業務範囲を複合調味料の分野へ広げている。また、天味食品や臨海国際などの複合調味料ブランドは、顧客層に合わせて味を細分化して、サブブランドを打ち出した。食肉加工製品の双匯、グルメコンテンツプラットフォームの日食記も、独自の複合調味料製品を発売した。

市場の注目度が上がると、新たな起業チャンスが生まれる。加点滋味や小熊駕到、澄明食品などの新興ブランドは、いずれも複合調味料の分野に力を入れている。

小熊駕到の創業者で最高経営責任者(CEO)の校隽勇氏は、「複合調味料産業はスナック食品、ファストフードチェーン、デリバリー用調理済み食品の3つの分野で、以前から活用されてきた」と指摘する。

校氏は続けて、「これまで、複合調味料は食品の後ろ側に『隠れて』いた。ポテトチップを食べるにしろ、外での食事にしろ、食品デリバリーにしろ、複合調味料を連想する人はあまりいないが、実は産業サイドでは急速な発展を遂げている。ここ2年ほど、若者に新たなニーズが生まれたことで、複合調味料産業の消費サイドにおける可能性を多くの人が目にするようになった。こうして複合調味料をめぐる競争に一気に火が付いた」と述べた。

前出の朱氏は、複合調味料市場について「この業界で創業するチャンスは今もあるが、この産業は製品の分類が非常に細かく、原材料の選択や産地などにいろいろなこだわりがあり、企業の産業チェーンやサプライチェーン全体が直面する課題は相対的に大きい。産業チェーンの完成度、製品の品質の安定レベル、食品の安全性などの各方面で、創業者はより一層の努力が求められる」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年12月15日

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