12月15日から、アップルユーザーは最新OS「iOS 15.2」への更新のお知らせを相次いで受け取るようになった。その中の新たな変化の1つとして、「デジタル遺産プログラム」の機能がリリースされたことだ。指定された遺産相続者は、当該のユーザーが亡くなった後でiCloudのアカウントとユーザーの個人情報にアクセスできるようになるという。デジタル時代では、人々がネット世界に残した足跡は、デバイスの所有者の死後も別の人に相続されるのか、ということが新たな課題になりつつある。
デジタル遺産は大きく分けて2種類ある。ゲーム装備や仮想通貨のようなデジタル資産が1つ、SNSやチャットの記録、アルバムなどその人の人格や属性を示すデジタル遺物が1つだ。アップル公式サイトの「デジタル遺産」機能の説明によると、「iOS 15.2、iPadOS 15.2、macOS 12.1 以降では、Apple のお客様がご自身の AppleID に個人アカウント管理連絡先を追加できるようになりました。……亡くなった家族や友達の故人アカウント管理連絡先になっている場合、故人があなたを故人アカウント管理連絡先として追加した際に作成した一意のアクセスキーと、故人の死亡証明書を両方とも用意した上で、自分のデバイスで直接、または『デジタル遺産-死亡した友人または家族のアカウントにアクセスする権利をリクエストする』ページで申請を始められます」とある。
デジタル遺産機能ではアクセスできるデータは、iCloud写真、メモ、メール、連絡先、カレンダー、リマインダー、iCloudに保管されているメッセージ、通話履歴、iCloud Driveに保管されているファイル、ヘルスケアのデータ、ボイスメモ、Safariのブックマークとリーディングリスト、iCloudバックアップとなっている。一方、個人アカウント管理連絡先がアクセスできないのは、ライセンスが必要なメディア(個人が購入した映画、音楽、ブックなど)、アプリ内課金(アップグレード、サブスクリプション、ゲームの通貨など)、お支払い情報、個人のキーチェーンに保管されている情報などだ。
データへのアクセスには期限があり、最初に申請が認められた日から3年以内となっている。3年が過ぎるとアカウントは永久に削除される。
中国企業も個人のアカウントを保護
デジタル遺産の機能はアップルが最初に始めたわけではない。中華遺言状バンクが発表した「中華遺言状バンク白書2020」によると、20年度には「80後(1980年代生まれ)」の10.69%が支付宝(アリペイ)、微信(WeChat)、QQ、ゲームアカウント、証券ファンドなどのバーチャル遺産を遺言状に書き込み、「90後(1990年代生まれ)」の遺言状ではこの割合が21.35%に上がる。
アップルよりも早く、中国ネット企業が「故人アカウント」保護機能をリリースしている。