残酷なことに、日本の大学進学率は約50%で、名門大学には入れるのはそのうちのごく一部だ。学歴社会の日本では、高卒以下は生きていくのが難しく、自暴自棄になって徹底的に社会に背を向ける人も少なくない。こうした「下降を回避するための競争」の勝利者は、学歴を足がかりにして安定した仕事を見つけると、それ以降は「上昇への憧れ」を失い、毎日をただひたすら穏やかに過ごしたいと願うようになる。
こうした日本の若者は自分の将来が心配にならないのだろうか。山田氏が出した答えは簡単で、「彼らはつまるところ将来のことは考えていない」という。
若者が希望をもつにはどうしたらいいか?
この状態が長く続けば、日本は大勢の国民が「集団で下降移動する」初の先進国になるだろうか。山田氏は、「下降ではなく、知らず知らずのうちに徐々に衰退していくだろう。下降は高いところから突然下に落ちることだが、日本の状況は『ゆでガエル』のようなもので、最も危険なのは、変化が少しずつ発生していながら、日本人は少しも気づかない中で貧困に陥っていくことだろう」との見方を示した。
山田氏は、「今の日本の若者は途方に暮れることはないが、『上昇志向』の原動力や願望を失っている。こうした若者に未来はない。今ある問題はおそらく20年後に集中的に顕在化するだろう。その頃の日本がどんな様子か想像しがたい。きっと、こうした『子どもたち』は年齢が上がり、仕事がなく、かなりの確率で両親の貯金を当てにして生活し、真の貧困に陥り、階層が『下降移動する』流れは止められないだろう」と述べた。
山田氏は試みとして次のような対策を打ち出している。「問題解決のカギは『若者に希望を抱かせること』であり、仕事では従来の年功序列型の賃金体系を打破し、若者にも管理職に昇進する可能性を与えることが必要だ。結婚や出産に関しては、両親と子どもが同居するパラサイト文化から脱して、パートナーを探し、家庭を構えるための準備をするべきだ。また社会全体が若者へ希望に満ちた環境を提供すべきだ」。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年1月11日