「マジックじゃないの?」スゴ技トリックアートが話題の江蘇省の男性

人民網日本語版 2022年06月09日14:21

「達人は民間の中にいる」というフレーズを何度も聞いたことがあるだろう。その言葉の通り、私たちの周囲には確かに「すご腕の達人」がおり、そのスキルの高さに驚かされることがよくある。中国のショート動画プラットホームでは最近、ハンドルネーム「一痕老師」さんが描くトリックアートのスゴ技が大きな話題となり、フォロワー数は500万人に達している。トリックアートで描かれた女の子は、写真なのか絵なのか見分けがつかず、描かれた落花生を食べようとするオウムもいるほどだ。ネットユーザーからは、「自分の目を疑ってしまう。これ本当にマジックじゃないの?」といった驚きの声が寄せられている。

絵に描かれた落花生を食べようとするオウム

「一痕老師」さんが描いたセミ

「一痕老師」とは、江蘇省宿遷市出身の美術の教師・曹志さん(40)のことだ。曹さんは2018年、ネット上で偶然海外のトリックアートを目にして「一目惚れ」。そうした海外の作品と同じレベルの絵を描きたいと、ネット上で資料を探して勉強したという。

曹志さんの1作目のトリックアート

トリックアートを描けるようになるには基本練習の積み重ねが大事

本当に騙されてしまいそうなトリックアートは、どのようにして描き出すのだろう?曹さんは、どう見ても飛び出して見えるトリックアートを描くコツについて、「変形のテクニックをマスターすること」と惜しげもなく教えてくれた。

トリックアートと普通の絵画の一番の違いは、変形した物を描き出さなければならない点だ。曹さんは、「コップを例にすると、デッサンで描くときは、コップの口は必ず楕円形になる。一方、トリックアートでは、円く描く必要がある。図形全体を、普通の絵よりも縦に長く描き、上部を大きく、下部を小さく描いて、完成してから斜めに写真を撮ると、立体感が出る。動物や人間を描くときの原理も大体同じ。物体を高く、長く描くのがコツ」と説明する。

曹志さんが描いたハト

立体的に描かれたザリガニ

トリックアートという分野を模索したことについて、曹さんは、「まず基本練習をたくさん積み重ねなければならない。光の効果をうまく活用する必要もある。こうしたことは全て普段の反復練習の賜物だ。そして通常の絵画スキルをしっかり身に着けた後に、それをさらにブラッシュアップして、トリックアートという形式でさらに洗練された作品を生み出したいと考えた」と語る。

中国大学統一入学試験(通称「高考」)の受験生を応援する曹志さんの作品

子トラ

曹さんは、「約4年間で、300~400作品のトリックアートを製作した。中でも最も印象深いのは、『自分の足を描く女の子』を描いた作品だ」と話す。その作品には、黄色のワンピースを着た女の子が地面に座って、左手は地面に置き、右手で自分の右足を描いている様子が描かれている。女の子の髪形はロングポニーテールで、髪の毛もリアルに描かれている。女の子が静かに地面に座って自分の足を描く姿に、多くのネットユーザーが心を痛めた。しかし、この女の子は実際に片足を失ったわけではなく、「女の子が自分の足を描く」というのは曹さんが製作の過程で思い浮かんだアイデアだという。曹さんは「だから、心配しないで」と笑顔で話す。

見る人が息をのんだ「自分の足を描く女の子」

宿遷市の農村の普通の家庭に生まれた曹さんは、「子供の頃から絵が好きだったが、教えてくれる人はいなかったので、好きなように描いていた。でも、適当に描いた絵でも、家族はいつも褒めてくれた。それで、絵がどんどん好きになった」と振り返る。

今、曹さんは上海に定住して十数年になり、美術教育に従事して12年になる。今でも絵を描くことが大好きという曹さんは、「好きなことをずっと仕事にする勇気とこだわりを持てた自分に感謝したい気持ち。みんなに僕のトリックアートを気に入ってもらえて、とてもうれしい。この『マジック』を一人でも多くの人にシェアしたいと思っている。そして、今後はさらに多くの人に絵を教えて、一人でも多くの優秀な画家を育てたい」と語る。(編集KN)

曹志さん

「人民網日本語版」2022年6月9日

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