人民元相場がこのほど、2年余りぶりに1ドル=7元の大台を割り込み、2020年7月以来の最安値を更新した。15日午後6時30分前後には、外国為替市場でオフショア人民元のスポットの対ドルレートが7.0187元まで下がり、同日のオンショア人民元のスポットの対ドルレートも大きく下がり、たびたび7元に迫った。中国新聞網が伝えた。
平安証券の鍾正生チーフエコノミストは、「最近の人民元相場の下落にはこれを触発した2つの要因がある。1つはドル指数がこのほど20年ぶりの高値を付けたこと、もう1つは中米の金融政策の分化がさらに広がり、国債の利回りの逆転現象がさらに拡大したことだ」との見方を示した。
中国社会科学院金融研究所の張明副所長は、「実際には22年初めから現在までの間に、人民元の対ドル相場は『もみ合い-急落-もみ合い-急落』の特徴を示してきた。今年に人民元がドルに対して下落した最も重要な原因は、中米の長期利回りの開きが急速に拡大したことだ」と指摘した。
1ドル7元を突破した後、人民元はどこに向かうのだろうか。中信証券の明明連席チーフエコノミストは、「強いドルを背景に、人民元が重要なポジションである7元を突破するかどうかは実はそれほど重要ではなく、複雑で変化に富んだ国際情勢の下での相場の変動を理性的に見るべきだ。中国人民銀行(中央銀行)が相場の安定に使うことのできる政策ツールは豊富にあり、ツールには反循環的要素の発動、企業の国境を越えた資金調達のマクロプルーデンス調整パラメーターの調節などが含まれるがこれに限らない。このうち反循環的要素は人民元の対ドル基準値の設定モデルに直接影響を及ぼす。これまでの経験から考えると、このツールは人民元の持続的で単独の下落相場への対応において非常に有効だ」と指摘した。
粤開証券の羅志恒チーフエコノミストは、「人民元相場が1ドル7元を突破したことは、バランスの取れた相場に回帰するだけのことであり、過度に懸念する必要はない。これからの人民元相場の動向は3つの要素によって決まる。1つ目はドル指数の強弱で、2つ目は中国経済の回復状況、3つ目は相場の安定を維持するための政策的関与だ。しかし人民元相場は長期的な下落が基調ではなく、これからドル指数が高騰・下落したり、中国経済が安定・回復したり、政策ツールが適切な関与をしたりするのに伴って、人民元相場は過去に2回あった7元突破の時のように、再び1元7ドル以下に戻るだろう」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年9月16日