今年中頃に安定に向かい始めた人民元相場だが、最近になって変動が見られるようになり、1ドル6.9元(1ドルは約138.8円、1元は約20.1円)に迫ろうとしている。今月24日の外国為替市場では、オンショア人民元の対米ドルレートの最安値が6.8694元、オフショア人民元は同6.8874元になり、年内の最安値を更新した。26日には6.85元前後とやや回復した。中国新聞社が伝えた。
人民元相場下落の原因は何か?
中国銀行研究院の王有鑫シニア研究員は、「最近の人民元相場下落には主に3つの要因の影響がある」として、次の3点を挙げた。
(1)米連邦制度準備理事会(FRB)の継続的な利上げ、ユーロの低迷などの影響により、米国の外部で米ドル指数が上昇を続け、人民元相場に調整を迫る圧力をもたらした。
(2)最近、中国人民銀行(中央銀行)が中期貸出ファシリティ(MLF)と最優遇貸出金利(LPR)を引き下げ調整し、中国と米国の金融政策が引き続き分化したことが、短期間の国境を越えた資本の流動と相場に一定の変動をもたらした。
(3)最近、中国の一部の都市で新型コロナウイルス感染症がリバウンドし、企業と住民の投資・消費意欲が振るわず、不動産業の回復ペースが遅く、社会融資の増加ペースが鈍化した要因が為替の変動性をある程度拡大した。
このたびの人民元下落はどんな影響をもたらすか?
王氏は、「現在の状況から考えて、このたびの人民元の低迷傾向が国境を越えた資本の急速な流失につながる可能性はない」と指摘した。
一方で、中国の財政金融政策は絶えず強化され、経済の回復状況はこれから好転を続ける見込みで、人民元資産への投資には安全性、流動性、収益性が備わり、海外市場の変動が拡大する背景の中で金融のリスク避難港の役割をよりよく発揮するとみられる。
王氏は、「よってこうした角度からみれば、このたびの相場下落が国境を越えた資本の流動に与えるマイナス影響は限定的だ」と述べた。
また王氏は、「輸出入貿易にとって、人民元相場の適度な下落は輸出貿易の競争力と価格の優位性を高め、実体経済の回復を推進する上でプラスだが、輸入企業の輸入コストは増大することになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年8月29日