(写真著作権は視覚中国が所有のため転載禁止)
中国で最近、「青臭く不快な香りのオオカナメモチをなぜたくさん植えるのか」というハッシュタグの付いた話題がネット上で検索のトレンド入りしている。白い小さな花を咲かせるオオカナメモチは、湖北省や浙江省、江蘇省、広東省といった中国の南方エリアで街の緑化のためにたくさん植えられている。
もし実際の花の近くに行くのではなく、写真だけでオオカナメモチを見るのであれば、その美しい見た目から、まさか「青臭い」とは、誰も想像しないだろう。
ある研究によると、オオカナメモチの青臭い香りは、天然に存在するアミノ酸の一種であるアルギニンが酸化することによって発生する。アルギニンが酸素と化学反応を起こすと、不快な香りを放つ。
オオカナメモチは、中国の多くの地域で栽培されており、その自然分布エリアは約20省(区、市)に及んでいる。ネット上では、オオカナメモチに対するさまざまな「突っ込み」も寄せられている。
手間もお金もかからないオオカナメモチ
不快な香りを放つのに、なぜたくさん植えられているのだろうか?その理由は、「臭い」こと以外は良いことだらけだからだ。
街の緑化という観点から考えると、オオカナメモチは、手間も、お金もかからない植物だ。その外見は美しく、四季を通じて緑の葉をつけ、花も咲かせる。小さな白い花がたくさん集まったお椀状の大きな花序はとても美しい。また秋になると、球形の赤い実が成り、まるでミニランタンが木に飾られているようで、冬にはそれが鳥のエサにもなる。
造園専門家によると、オオカナメモチは観賞性に優れ、寒さや乾燥に強く、手間がかからず、緑化樹木に非常に適した品種となっている。またオオカナメモチは土埃を減らし、周りの有害な気体を吸収し、空気を浄化する効果もある。
中国の伝統文化において、オオカナメモチに対する評価は非常に高い。例えば、「水舂がまわり臼で雲母を搗く音が聞こえ、春風がオオカナメモチの花を揺らしている」と詠んだ詩人・李白の詩は人々から高く評価されている。
また、唐朝第6代皇帝である玄宗は寵愛した楊貴妃が亡くなった後、寺で白くて上品でしかも凛とした雰囲気を漂わせる満開のオオカナメモチの花を見て、楊貴妃を思い出していたと言われている。楊貴妃が生前、身づくろいをしていた場所が「端正楼」と呼ばれていたため、「オオカナメモチ」を「端正樹」と呼ぶようになったという。
オオカナメモチが放つ不快な香りも、害はなく、授粉をしてくれる昆虫を誘うことができ、その繁殖に一役買っている。またオオカナメモチの開花期間は短く、通常15日から20日ほどとなっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年4月14日