飼育下のパンダの一挙手一投足が現在、これまでないほど注目を集めている。そして、各大手セルフメディアプラットフォームでは、「パンダムービー」が大人気となり、「癒し」を求めて多くの人が視聴している。大人気のパンダがいる動物園にも観覧客が殺到しており、「1時間並んで、パンダを見ることができるのは3分」という状態になっているものの、その人気は衰えをみせていない。
パンダが大ブームとなっていることで、これまであまり注目されていなかった「パンダ飼育員」も今、脚光を浴びている。
江蘇省常州市管轄下の溧陽市の南山竹海景勝地にあるパンダ館は先ごろ、「パンダ飼育員」を募集したことで、検索のトレンド入りしたほか、「パンダ飼育員に数百人が応募したものの、採用者はゼロ」というハッシュタグが付いた話題にも注目が集まり、「パンダ飼育員を探すのはそんなに難しいのか?」といった疑問の声もたくさん上がった。
パンダの糞便を両手で割って細かくチェック
パンダの生まれ故郷は、長江上流の標高の高い山や深い谷で、靄のかかるうっそうとした竹林だ。パンダは数百万年かけて、環境に適応するために、徐々に食性を変え、竹を主なエサとするクマ科の動物へと進化してきた。毎日食べる食物のうち、竹が90%以上を占めている。
江蘇省天目湖・南山竹海パンダ館の飼育員・李子瀟さんは早朝5時半には起きて身繕いし、朝食を食べる暇もなく、パンダの朝食の準備を始める。
そしてパンダが朝食を食べ終わるとすぐに次のエサを準備をする。成獣のパンダが1日に食べる竹は約25キログラムにもなるため、飼育員たちは1日に何度も竹を補充しなければならない。
「パンダが食べる様子を見ていると、自分もお腹いっぱいになった気分になる」と充実感を漂わせながら話す「90後(1990年代生まれ)」の李さんは満面の笑みを浮かべていた。江蘇農林職業技術学院で牧畜・獣医を専攻していた李さんは2015年に卒業すると、南山竹海景勝地で動物飼育員として働くようになった。
李さんは、「ここに来るまでは、景勝地によくいるサルやタンチョウを世話するのかと思っていた。そうしたら出勤1日目に、国宝と言われるジャイアントパンダの世話をすることを知った!」と話し、出勤1日目の「サプライズ」に気分が高揚したことを今でも鮮明に覚えているとした。
朝食となる竹を準備した後、李さんはすぐにパンダ2頭を屋外に移動させて、朝食を食べさせる。そして、夜間パンダがエサを食べたり、休んだりする室内エリアの掃除を始める。糞便を掃除する前にはそれをじっくり観察するほか、そのうちの1つを両手で割って、細かく観察するという。
パンダの糞便を観察することで、色々なことが分かり、飼育員は糞便の形状や状態を見て、エサを調整するのだという。両手で割って細かく観察するのは、寄生虫の有無をチェックするためという。
「私たちパンダ飼育員は、排泄処理担当であるだけでなく、パンダの看護師でもある。日夜世話をしながら、体調をチェックして、対応もしなければならない」と李さん。
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4時間かけて蒸した「愛の詰まった蒸しパン」
ジャイアントパンダは腸が短いため、食べたものをすぐに排泄する。もともと肉食の祖先から進化を遂げたパンダは、少しずつ竹を食べるようになった。しかし現在も盲腸がなく、腸が短いという肉食動物の特徴が残っているため、ほとんどの草食動物と異なり、植物繊維を消化することができず、竹の水分に含まれる栄養分しか吸収できない。
成獣のジャイアントパンダの体重は100-150キロにもなるが、どのようにして体調を維持しているのだろうか?それは、たくさん食べて、たくさん寝るという方法だ。つまり摂取量を増やして、エネルギー消費は減らすというわけだ。そのため、パンダは起きているほとんどの時間何かを食べており、お腹いっぱいになって気分がよくなると、歩き回ったり、木に登ったり、おもちゃで遊んだりし、それらに飽きたり、疲れたりすると、寝転んで昼寝をする。次に目を覚ますのはお腹が空いた時で、起きるとまたエサを食べ始める。