巨匠・張芸謀監督:新作「帰来」は芸術映画 (2)
張監督はこの疑問について、「単にどんな映画を撮りたいのかをはっきりさせたかった。また、撮るなら良いものを作り上げるということをはっきりさせたかった」と心の内を明かしたほか、アートに対する理想について、「見る人に一種の感情、思考、ヒューマンスピリッツを感じてもらうこと」とし、「撮るならよいものを作りたい。『帰来』は、2002年の武侠映画『HERO(原題: 英雄)』のような作品とは違う」と語った。
また、これまでいくつもの商業映画を作って来た理由として、「私は中国映画の転換期を経験した。中国で『第五世代』と呼ばれている1980年代に登場した新世代の映画監督たちは、デビューしたばかりの時、非利益追求型の『芸術映画』を制作していた。そして、少しずつ現在の利益追求型の大作『商業映画』を制作するようになった。産業が急速な発展を遂げる中、『商業映画』はビジネスに重きを置いたファーストフード型、速成型の映画となっている」と語った。
今後は「二刀流」
今回は芸術映画「帰来」を制作した張監督だが、「商業映画」を今後制作しないというわけではないとし、「台湾の巨匠・李安(アン・リー)監督とは違い、『二刀流』に励みたい」とした。そして、「商業映画を制作するのも、見るのも好き。単に、撮るなら良いものを作り、学び、成長したいだけ。なぜなら、商業映画の制作も決して簡単ではないから」と語った。
近年数々の興業収入記録を打ち立ててきた張監督だが、「帰来」に関しては、「少なくとも赤字になることは絶対ないだろう。それでいい」といたって冷静。具体的な数字を挙げることはなかった。そして、「多くの若者に見てもらいたい。同作品は愛や待望、帰郷、待ち望む人の思いや感情を描写している。私自身も現場で感動をもらった。この感動を見る人、とくに若者に伝えたい。若者に、『80年代生まれであれ、90年代生まれであれ、世代は違えど人の感情というのは永遠に変わることなく、素晴らしい作品は誰にでも感動を与える』ということを伝えたい」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年10月8日