中国市場に活路を見出す韓国人監督 (2)
■中国では連戦連敗だった韓国スターたち
ポップカルチャーにおいて「韓流」がアジアを席巻してからすでに長い時がたつが、中国映画市場では韓国人はこれまでずっと連戦連敗を強いられてきた。2001年、韓国映画「猟奇的な彼女」がアジアで爆発的人気を博した後、2002年7月に中国で公開されたが、まるで大海に放った石ころのように、さざ波さえたてずに撃沈した。現在当時の興収を調べようと思っても探せないほどの有様だ。
チョン・ジヒョンの中国での人気や知名度は第一線で活躍する人気女優にも引けをとらないほどだが、チョン・ジヒョン主演映画は中国でこれまでずっとヒットを飛ばせずにいる。「猟奇的な彼女」のほかにも、「デイジー」(06)や「泥棒たち」(12)などもすべて惨敗。2011年、チョン・ジヒョンと李冰冰(リー・ビンビン)が共演した「雪花と秘密の扇子」(11)の中国での興収は約3000万元(約4億7700万円)だが、これがチョン・ジヒョンの中国における最高の興収記録となっている。
他の韓国スターも中国では思うような名誉や成績をあげられていない。チャン・ドンゴン主演、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の「PROMISE プロミス」は興収では1億8000万元(約28億6200万円)と悪くない成績をあげたが、激しい批判と批評を一身に浴びた。昨年、チャン・ドンゴン、張柏芝(セシリア・チャン)、章子怡(チャン・ツィイー)が共演した「危険な関係」は1億元を超える製作費が投入されたものの、約6000万元の興収しかあげられなかった。また、ウォンビン主演のサスペンス・アクション映画「アジョシ」(11)は韓国で興収新記録を創る大ヒットを記録したが、中国では泣かず飛ばずの成績だった。さらに悲惨なのはぺ・ヨンジュンだ。ソン・イェジンと共演した主演作「4月の雪」(05)の中国での興収は、ぺ・ヨンジュンが中国に来るプロモーション費用すら捻出できないほど惨たんたるものだった。
■中国で活路を見出す韓国の監督たち
韓国で最も市場を見る力があるアン・ビョンギ監督は、現在の映画界が置かれている情勢が非常にはっきりと見えていた。それは、「アジア映画人の未来は中国にある」というものだ。
2012年、アン・ビョンギ監督は北京に自身の製作会社を設立し、ホラー映画「Bunshinsaba」シリーズを全力で打ち出した。パート1は1500万元の製作費で6100万元の興収をあげ、続編は2000万元の製作費で、すでに現時点で8000万元の興収をあげている。これは、中国の人気女優・楊◆(ヤン・ミー)主演の「孤島驚魂」に続くホラー映画の興収記録第2位につけている。
特筆すべきは、低予算映画「Bunshinsaba」シリーズ2本の興収が総計1億5000万元に上り、すでに中国で最もヒットしたホラー映画シリーズになったと同時に、パート2がパート1の成績を越えた点だ。
アン・ビョンギ監督のほかにも、今年の上半期にはオ・ギファン監督がメガホンを執った彭于晏(エディ・ポン)と白百何(バイ・バイホー)主演の「別れの契約」が中国で約2億元近い興収をあげた。さらに夏休みシーズンに入って、キム・ヨンファ監督の中韓合作映画「ミスターゴー」が、SFサバイバルアクション映画「アフター・アース」や、ローランド・エメリッヒ監督の最新作「ホワイト・ハウス・ダウン」といったハリウッド大作がひしめく中、1億元を超える興収を記録した。この韓国人監督3人が収めた成功は韓国映画人に中国市場での活路の見出し方を示すものとなった。