北京初の「人間図書館」 主役は市井の庶民
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北京の焼けるような夏の日の午後、五道口東升ビルの中をうろうろしてやっと「星辰海」と書かれたガラス戸を見つけた。このドアの中には特別な「図書館」が待ち構えている。北京初の「人間図書館」だ。図書館というもののここの主役は書籍ではなく、私たちの身の回りにいる一般の人々なのだ。ここの「読者」は「一人の人間は一冊の書物である」という言葉を信じている。北京日報が伝えた。
毎週土曜日の午後2時から4時までが、この星辰海人間図書館の「人間図書」貸し出し時間となっている。現場はよくあるブックバーに似ている。カーテンで仕切られた広くない場所がいわゆる「書棚」だ。ここには特別な舞台はしつらえられてなく、椅子が10脚ほど置いてあり、「人間図書」と司会者が向い合わせになっている。創設者の星凝さんがこの図書館を始めてすでに3年目を迎え、毎回のイベントに20人近い「読者」が集まるという。
この日、「人間図書」を担当したのは秦飛さんという若いシナリオライターの女性だった。図書館から与えられたテーマに沿って、「読者」に彼女が脚本の中に感情を織りこむ経験を紹介、司会者の「Morning」さんの進行で秦飛さんは滔々と2時間、よどみなく語りきった。脚本を書くということ、インスピレーションを得た瞬間、この職を得たきっかけなど、初めて会う人と分かち合う忌憚のない話は、明らかに話は飛んだりしたが、読者は興味津々に聞き入っていた。
読者の中にはこの図書館の会員もいるが、ほとんどがこの図書館の名に引き寄せられて集まってきた人々だ。彼らはとても強い興味を持っていて、時に彼女が一言話すとすぐに質問が飛んできたりしていた。ある人はシナリオを書く技巧について、またある人は彼女が創作に取り組んでいるときに孤独を感じないか好奇心に満ちて聞いた。個人的な感情の問題に至っては、会場から冷やかしが起こったりもした。この「読書」を通して、会場にいた人々の心は打ち解けていったようだった。
「人間図書」になってみて、秦飛さんは「人間図書館」というものは、実際の「読書会」みたいなものだと感じたという。「ここで私は物語を見知らぬ人々と共有し、彼らは私の物語に興味を持つかもしれないし、シナリオライターという仕事に興味を持つかもしれません。もしかしたら将来、同業者が出るかもしれませんね」という彼女は、自分は人付き合いが得意なほうではないが、今回のイベントを通して初めて会った人とも楽しくおしゃべりができたと語る。
崔琳さんはこの図書館の常連で、「人間図書」を読むのは4回目だという。他人の物語、人生を聞くことは、日常生活では得難い体験だ。ここに来るようになって彼女は、隣に座っていた女子大生のように趣味の合う友人を見つけることができたという。彼女とは笑うポイントがほとんど同じで、何か面白い問題が提起されると2人でなんとなく目が合って微笑みあうのだそうだ。2人で様々なイベントによく参加しているらしい。
「出会いを提供し、ともに成長する」。これは「星辰海人間図書館」のホームページの最も目立つ位置に掲げられている言葉だ。図書館の本棚の壁面にもチョークで似たような言葉が書いてあった。星凝さんは「異なる人間がこの星辰海で出会い、さまざまな次元の世界を覗いて、まだ知らなかった自分に出会う。これこそが私がこの「人間図書館」を設立した目的であり、この活動の価値の意義だと思っています」と語る。
解説:
「人間図書館」とは
「人間図書館」(Living Library)とはバーチャル概念のひとつで、人々を招待し実際に会って話をすることで「閲覧」を行う。この過程を通して、他人の人生を理解し様々なきづきを得ると同時に、知識や経験の共有、自我の表現の機会となる。この活動はデンマークで2005年に始まり、上海交通大学が中国初の「人間図書館」イベントを行った。(編集EW)
「人民網日本語版」2013年8月28日