盛り上がる中国映画界で伸び悩む中国国産映画 (2)
市場との距離縮めても集客進まず
中国では国産の文芸作品の興業収入はこれまでずっとそれほど重視されてこなかった。しかし、ここ数年中国の映画市場が急速な成長を見せるにつれ、文芸作品の制作者らもマーケティングの必要性に気付き、市場との距離を縮めるようになった。
農村をテーマにした「ティエダンのラブソング」は、市場開拓を目指し、王全安監督は「2013年で最もすばらしい文芸作品」とうたい、著名なシナリオライター蘆葦を起用し、映画評論家、蘇牧氏も大々的にバックアップした。さらに、同作品のスポンサーや配給会社、広告会社なども共同で「ティエダンのラブソング」芸術映画放映連盟を立ち上げ、目標興業収入額200億元(約3200億円)を掲げた。
一方、「有種」も、1994年の人気映画「北京雑種(邦題:北京バスターズ)」の続編」とうたい、「80後(80年代生まれの若者)」や「北漂(北京で奮闘する人)」、「愛」、「裏切り」など、話題の要素を数々取り入れることで、見る人が共感を覚えることができるよう試みた。さらに、張元監督は上映前、同作品は「中国を代表する歌手、王菲(フェイ・ウォン)の恋愛経験を題材にした」と売り込んだ。
そのほか、芸術作品の放映環境も現在、過去とは比べられないほど改善されている。もちろん上映回数は少なく、上映時間も人気のない時間帯だったが、「有種」も公開が「独身の日」に合わせられた。また、「団円」の封切も中国の3大節句「中秋節」に合わせられ、王全安監督は大きな期待を寄せていた。
しかし、大物俳優の起用はほとんどなく、宣伝力も十分でない文芸作品は、依然として社会で注目されるには至っていない。また、逆に1日の放映回数が少なく、映画館の入場者数が極端に少ないことには、映画ファンが注目し、入場者数が少ないことを理由に「有種」の上映を中止する映画館もあった。