安倍氏が再び「価値観外交」 ASEAN抱き込み中国牽制狙う (2)
■フィリピンとのみ意気投合
日本とフィリピンの特殊な関係のため、安倍氏の今回のフィリピン訪問も大いに注目されている。日本の首相による同国訪問は7年ぶりで、前回は第1次安倍内閣時だった。7年を隔てて、日比関係は新たな段階に入る。
フィリピン外務省は、安倍氏がフィリピンのアキノ大統領と日比間の「戦略的パートナーシップ」の一層の強化について協議することを明らかにした。日本は2012年にフィリピン最大の貿易相手国となった。また、最大の政府開発援助(ODA)提供国でもある。NHKは23日、フィリピン側は安保分野の協力の深化を望み、海洋警備部隊の強化を含む一層の支援を安倍政権に期待しているとも報じた。
日本にとってもフィリピンは不可欠だ。共同通信によると、安倍氏の今回の訪問には南中国海問題で領有権争いを抱える関係国と協力を強化し、中国を牽制する狙いもあるかもしれない。この目的を達成するため、日本は昨年からフィリピン沿岸警備隊の訓練支援に着手した。また、今年初めには少なくとも5隻の中古巡視艇をフィリピンに供与することも決定した。
南中国海係争において、フィリピンはすでに対中挑発の急先鋒となっている。そして日本が陰でそれを後押ししようと急いでいることは明らかだ。安倍氏は今回の訪問で安全保障に関わる軍事協力協定をフィリピン側と締結する可能性が高い。この協定は日本の海上自衛隊と航空自衛隊にフィリピンが港湾や補給基地を提供すること、南中国海で双方が航空防御協力を行なうことなどが盛り込まれる。
厖氏によると、日比両国には海洋での中国牽制という重要な共通点がある。数日前に米国とフィリピンは大規模な軍事演習を行なった。日比の防衛協力強化には、米国のアジア太平洋リバランス戦略に歩調を合わせる意味もある。だがフィリピンはしょせん小国であり、軍備能力は非常に弱い。日本から供与される巡視船も使用済みの旧型であり、敏感な部品も撤去されているという。日本からの防衛分野の支援は非常に限られたものであり、深いレベルには達していない。フィリピンは軍事力が弱く、自らを守ることすら難しい。しかも国内には深刻な分離主義勢力も抱える。フィリピンが日本の中国牽制を一体どれほど助けられるのかは、よく考えてみる価値がある。
安倍氏はシンガポールでバイデン米副大統領とも会談する。自民党が参院選で圧勝し、政権基盤が固まったため、日米関係の強化について確認する予定だ。「日本外交において、米国はやはり最も重要な地位にある。ASEANにとっても、米国との関係は最も重要だ。また、米国にとってアジア太平洋リバランス戦略の重点はASEANにあり、ASEANはアジア太平洋戦略の拠点だ」。厖氏によると、今回のバイデン氏と安倍氏との会談はシンガポール訪問中に行なうものであり、その効果は日本または米国で特別に設けて行なう会談には到底及ばない。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月26日