保守の安倍内閣と付き合う 中日は依然協力が摩擦を上回る
「週刊!深読み『ニッポン』」第52回「週刊!深読み『ニッポン』」
保守という言葉で自らの政治スタイルを顕示する安倍晋三首相は株価上昇、円安に続き、2020年東京五輪開催資格も獲得した。小泉政権のような長期政権が、安倍首相にとって最新の目標となった。(文:陳言・日本産網站CEO、日本企業(中国)研究院執行院長)
われわれは現在、「価値観」外交によって中国を抑え込み、包囲しようとする日本を前にしている。中日間の領土問題を短期間で解決することは困難だ。中日は永遠に引っ越すことのできない隣国であり、摩擦を弱める方法を探り、領土論争の存在を前提に政府、経済、文化交流を行う必要がある。特に経済分野の直接衝突は多くなく、協力範囲は中米間、中欧間を上回る。文化面でも中日関係は緊密だ。目下の窮地を乗り越え、新たな中日関係を構築するうえでこれらは有利な条件だ。
■日本と周辺国との領土論争は長期化
価値観外交は安倍内閣で「自由と繁栄の弧」とも呼ばれるが、この「弧」が包囲しようとしているのはまさに中国だ。安倍首相と路線が最も近い日本メディアの産経新聞は、安倍内閣の価値観外交は「中国封鎖」が重点だと極めて明確に指摘している(2013年6月17日付記事)。
われわれの目に映る安倍外交は、中国以外の全ての地で価値観の問題に言及している。安倍内閣から見ると、アラブ諸国が日本と価値観が同じであるだけでなく、モンゴル、ベトナム、東欧諸国さえもが安倍内閣と価値観を共有する。いわゆる価値観とは「中国封鎖」のみであり、イデオロギー上の日本と他国との共鳴は存在しない。中国封鎖において国際社会の共同歩調を勝ち取ることが、安倍首相の価値観外交の目的だ。
周辺国との領土問題において、日本はロシア、韓国と長年言い争っており、右翼政治家にとって中国との領土問題はなおさらに煽らねばならぬ重要議題となっている。昨年4月に石原慎太郎氏が米国で「島購入」を宣言し、9月に民主党内閣が釣魚島(日本名・尖閣諸島)を正式に「国有化」。安倍自民党は領土問題を利用して民衆に支持を訴えた。日本が領土問題において企てているのはテーブルについて話し合うことではなく、日本国内版の価値観外交だ。安倍内閣にとって、ロシアや韓国よりも国力の少し強大な中国は打倒を望む対象だ。このため安倍内閣は領土問題において中国と最も激しく衝突し、最も解決の道を探ろうとしない。この姿勢は今後も長期間続いていく。
「自由と繁栄の弧」は米国の学者の構想であり、日本がこの戦略を推し進めることを本来米国は支持するはずだが、オバマ政権が安倍首相を前にこの概念に言及したことはこれまでない。日本が米国の「アジア回帰」策略を利用して、アジアでの中米の軍事衝突を鼓吹するのを見て、米国は自らの表現を見直し、軍事的意味合いの非常に薄い「リバランス」という言葉で対アジア政策を形容し始めた。日本が南クリル諸島(日本名・北方四島)問題を大げさに宣伝し始めてから、すでに70年近くになるが、明確な解決案は依然見られない。中日間の釣魚島問題は2012年に民主党政権が「国有化」して初めて、日本国民の注目する問題となった。日露領土紛争に鑑みて、釣魚島問題も同様に数十年間煽られ続けかねない。