日本の「アジア欧州新シルクロード構想」の不可能性
日本の安倍晋三首相はこのほど、アジアと欧州をつなぐ地政学的大国、トルコを訪問し、国内外の注目を集めた。各メディアは一般に、原発技術の売り込みに焦点を合わせているが、安倍氏が1年間に2度もトルコを訪問した目的は原発協力だけではない。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所学者。環球時報掲載)
安倍氏は10月29日、ボスポラス海峡を貫く海底トンネルの開通式で「日本とトルコはアジアの両翼だ。東京を出発して、イスタンブールを経由し、ロンドンにいたる高速鉄道の夢を一緒に見よう」と語った。私はこの言葉にこそ、安倍氏の2度のトルコ訪問の真意があると思う。つまり日本が新たな「アジア欧州シルクロード」の起点となり、その地政学的状況の「トレーダー」となるということだ。
1990年代初め以降、中央アジア、コーカサス地域の国々の独立に伴い、中国と西アジアをつなぐ中央アジア地域が改めて国際社会で強く重視されるようになった。日本は、中央アジア地域は将来の重要なエネルギー供給源であるのみならず、地政学的役割から見ても、中国の発展を牽制し、抑制・均衡を図る「戦略的楔」でもあると考えている。トルコは古代において中国のシルクロードの重要な一部であり、中央アジア地域はシルクロードの必須経由地だった。中央アジア諸国は歴史、宗教、言語、文化などの面で、いずれもトルコと緊密な結びつきを持つ。だが、トルコと団結して「新シルクロード地政学枠組み」を構築し、中国の発展を抑え込もうとする日本の企ては実現困難だ。