「家なし」「戸籍なし」・・・都会の若者が抱える孤独・焦燥感 中国 (2)
(1)不合理な戸籍制度
「都市戸籍を持っていないことによる焦り」が、外来者にとって最大の問題だ。ある人が都市戸籍を持っているか否かによって、都市生まれの人々がその人を見る目が大きく変わる。「都会っ子ではない」という負い目によって、外来者は都会になじめなくなり、さらには、卑屈な気持ちや焦燥感が彼らの中に生まれる。
(2)郷里に対する深い思い
伝統文化の影響から、中国人の郷里に対する想いは極めて深い。家と故郷という概念が常に混沌とする中で、「自分の家はここにある。自分はこの地域の一員だ」という確固たる思いが生じれば、それが帰属意識となる。外来者の若者にとって、自分と生活している都市との心理的距離はあまりにも遠く、都市はお金を稼ぎ、生存していくための場所に過ぎないのが現状だ。
(3)大きく立ちはだかる「マイホーム」の壁
「マイホームを持って初めてその土地に根を下ろしたと言える」というのは、ごく常識的な考え方であり、家は幸福感をはかるための重要な指数だ。しかし、住宅価格の高騰や購入制限制度は、彼らに大きなプレッシャーをもたらした。
(4)盛り上がらない社会世論
農民工、一時労働者、流入人口など、よく似た言葉が世間をにぎわせている。実のところ、これらは階級制度を反映する言葉てあり、外来者の若者達の都市への所属感を下げ、卑屈な心理をもたらす要因となっている。
(5)激化する競争
故郷を離れ大都会に出た若者たちは、必死で働き夢を実現するという重い責務を担っている。だが、競争において、またいくつかの「不公平」に直面しなければならない。この競争激化と不公平感によって、彼らは焦燥感をますます募らせていく。
地方から大都会に出てきた若者たちには、社会の支持と受容が必要だ。まず、世論が正しい方向を向き、明らかに階級制度を反映するような言葉の使用を控え、彼らが受けるプレッシャーを軽減する必要がある。次に、外来者の若者は、自分自身を肯定する術を身につけ、伝統的観念から自らを解放し、自分自身を励まし、「この都市で生きていくのは、並大抵の能力ではできないことだ」と自分に誇りをもたなければならない。自分が「都市の主人」だと自覚し、アイデンティティーを高める必要がある。最後に、大都市に生まれた人々は、これらの「新住民」を広い心で受け入れ、わざと境界線や隔たりを作ることないよう、心すべきだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2012年12月12日