供え物に紙のiPad 変質した中国「清明節」=米紙
祖先を供養する伝統的な祭日「清明節」(今年は4月4日)に、お金に見立てた紙を焼く風習がある中国。最近ではお金にとどまらず、あの世で退屈しないようにと小切手やパスポートに似せた紙まで焼く-----。米紙ニューヨーク・タイムズは5日付で、中国の清明節が「変質」しつつある、と指摘する記事を掲載した。環球時報が報じた。
記事の内容は以下の通り。
2008年に清明節が国民の休日に指定されて以来、多くの人がこの日に墓参りを行い、故人が生前好んだ品々を供えるようになった。この日は親孝行の心を示す絶好の機会となっている。中国民政部(民政省)の統計では、昨年、清明節に墓参りを行った人は4億2千万人に上った。
生きている者にとって、清明節は焦りの気持ちがつきまとう。このほど発表された政府の報告書によると、中国の墓地は今後10年で空きがなくなる見通しで、60歳以上の人口が1億8千万人以上に達する中、遺骨の埋葬場所に多くの人が頭を抱えている。
こうした危機感を背景に、大都市を中心に闇市場が活気付いている。出棺・埋葬業に関する報告書によると、2010年に合法的な共同墓地に埋葬された遺骨は、北京で約31%、広州に至ってはわずか6%と少ない。旺盛な需要と限られた土地資源により墓地の価格が高騰しており、割安の不法墓地に人気が集まっている。
実家から離れて生活しているため墓参りに行けない人には、新たな選択肢も登場している。現在、ネット上には、擬似的に墓参りを行えるサイトが数十サイトある。クリックするだけで生花を購入でき、バーチャル墓地で手を合わせる。中には、故人が死後の世界でも退屈しないようにと、紙でできたパソコンやiPhone、iPadひいては愛人まで、供え物として用意しているサイトもある。
一方、こうした消費行為について、山東大学の張祥竜教授は「清明節の本来の意義を汚している」と問題視している。(編集YT)
「人民網日本語版」2013年4月7日