中国の生産年齢人口が減少 日本を参考にした対策が重要 (2)
生産効率の進歩は、技術の進歩であり、生産力などの資源配置効率の 向上でもある。生産力を、生産効率の低い部門から高い部門に移したならば、生産効率が改善される。
蔡氏は、「中国経済の今後の成長は、人口面のメリットが失われるに伴い減速するだろう。第11次五カ年計画期間(2006-2010年)、中国経済の潜在的な成長率は10.5%に達した。これが第12次五カ年計画期間(2011-2015年)には7.19%に、第13次五カ年計画期間(2016-2020年)にはさらに6.08%に低下すると予想される」と指摘した。
■やるべきでない対策
過度な投資拡大による需要増は、経済成長率を人為的に引き上げる。
蔡氏は、「人口面のメリットが失われつつあり、中国経済は今後『減速の関門』を通過しなければならない。我々はすう勢を直視し、これを平然と受け入れ、積極的に対応するべきだ。対策は、やるべきでない対策とやるべき対策の二つに分けることができる」と述べた。
やるべきでない対策は、経済成長率の低下をよしとはせず、過度な投資拡大、需要増によりこれを人為的に引き上げることだ。蔡氏は、「今後、新たな経済の原動力が提案されるだろう。これには、中西部のインフラ整備への投資拡大などが含まれる。中国は過去にその成功例を持ち、手馴れている」と語った。
蔡氏は、「しかし、潜在的な成長率を故意に上回ろうとするこれらのやり方により、生産能力の過剰、インフレ、産業構造の比較優勢の消失、資源不足といった深刻な結果が生じる恐れがある」と注意を促した。
蔡氏は、「この点に関しては、日本の教訓が参考になる。1950年代から70年代の20年にかけて、日本のは低下を続けた。経済もまた、年間平均9.2%の高度成長を実現した。従属人口指数が最も低い水準に達し、この水準を約20年間維持していた際、日本経済の成長率も3.8%に大幅に低下した。政府も民間も経済成長の減速をよしとはせず、さまざまな手段を講じた。金融政策は緩和を続け、財政政策は拡大を維持し、地域発展政策・産業政策・マクロ経済刺激策を大々的に実施した。1990年以降、日本の従属人口指数は上昇を開始し、人口面のメリットが失われ、上述した刺激策が悪い結果をもたらした。深刻なバブル崩壊が発生し、その後は年間成長率がわずか0.85%の失われた20年に陥った」と紹介した。