人民元の対円レートが引き続き上昇 半年で20% (2)
それだけではない。中国の輸出貿易も課題に直面している。金融問題の専門家・趙慶明氏によると、日本経済低迷の根本的な原因は輸出の不振にあり、日本は円安を通じて輸出を活性化させたい考えで、このことが中国から日本への輸出に直接影響を与えるとみられる。また人民元が値上がりすれば、ホットマネーが日本から中国に流れ込み、中国の外国為替資金残高が継続的に増加し、インフレ圧力が拡大することになる。だが元が値下がりすれば通貨安競争が始まり、最終的には共倒れになることが予想される。
米シティバンクのアジア・太平洋エリアのチーフエコノミスト沈明高氏は、今後は元の対ドルレートの柔軟性を徐々に拡大し、米ドル以外の通貨もバスケット通貨としての重み付けを拡大し、先進国の通貨も主要新興市場の通貨も対象とし、市場に主導的な役割を発揮させることが可能だと提起する。
▽影響:観光市場に円安の恩恵まだなし
円の対元レートが大幅に低下したため、昨年10月と比較すると、日本への旅行にしろ留学にしろ、費用が2割ほど安くなっている。これは観光産業にとって朗報のはずだが、現在の状況を見る限りでは、日本観光はまだ円安の恩恵を受けておらず、日本への留学生にもそれほど多くの積極的な反応はみられない。
複数の旅行社がこのほど明らかにしたところによると、円安の傾向ははっきりしているが、市場での商品の経営状況をみると、日本ツアーの申込者が目立って増加したということはないという。
日本に留学中の李さんによると、円安は自分や周りの中国人留学生にそれほど大きな影響を与えていないが、多くの留学生が、中国で元を円に両替して蓄えておくよう家族に頼んでいる。円はまだ値下がりするとみられるが、李さん自身は今後の動きを静観するという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年4月10日