パナソニックが撤退表明 プラズマの「死刑」宣告? (2)
産業研究に長年にわたって携わってきた中国家電網の馬聡・副編集長は、「パナソニックのNEOPDPの技術は現在もトップレベルにある」とパナソニックのプラズマテレビを評している。だが時は過ぎ、市場では現在、プラズマテレビの姿を見ることはほとんどなくなった。プラズマテレビの市場シェアは10%、さらには5%以下にまで低下した。記者が北京の家電売場を調べたところ、90%以上のテレビブランドは液晶テレビしか売っておらず、プラズマテレビを売っているのはパナソニックと長虹、サムスンだけだった。パナソニックを含めてすべてのメーカーは液晶テレビが主力商品となっており、長虹とサムスンはプラズマテレビをローエンド製品や補充型製品として売っており、販売員は液晶テレビの販売に力を入れている。
プラズマテレビの衰退の原因は一方では液晶テレビの猛攻にあるが、もう一方ではプラズマ陣営の保守性が自己の消滅を早めたとも言える。業界に詳しい楊帆さんは、プラズマの失敗の最大の原因は、技術があまりにも閉鎖的であったことにあると見ている。プラズマのキー技術を把握していたのはパナソニックや日立、パイオニア、サムスンなど数社だけで、日立とパイオニアが相次いで撤退した後も、パナソニックはこれに対処することなく、ほかの企業との協力の提案にも乗らず、プラズマ陣営の急速な萎縮を招いた。これに対して液晶分野は、LGやサムスン、奇美などのメーカーが開放的な態度を取ったため、市場が急速に発展し、液晶とプラズマの両陣営の攻勢を逆転させた。「理由は簡単です。消費者が売場に行って、テレビのブランドが10あるうちの1つしかプラズマを売っていないのを見たら、企業がどんなに宣伝していても、ほとんどの消費者は液晶テレビを買うことになるでしょう。消費者は専門家ではないので、群集心理が強く働きます」と楊帆さんは説明する。
中国家電網の馬聡・副編集長によると、パナソニックのプラズマ事業からの撤退は、プラズマの旗を掲げる旗手が不在となることを意味する。プラズマの良さを知る人はどんどん少なくなっており、知っている人もほとんどがパナソニックのプラズマのファンと重なる。液晶が不断に進歩する中、プラズマは、パナソニックの撤退によって前進する力を失い、市場の隅で生き残るチャンスさえも失いつつある。
▽市場への影響は限定的 中国企業は長期的展望を
テレビ市場の大きなシェアを握っていたパナソニックのプラズマ撤退は、世界のテレビ産業にいかなる影響を与えることになるのか。