日欧自由貿易交渉の難しさ
日本と欧州連合(EU)は25日、貿易自由化に関する「経済連携協定(EPA)」の締結に向けた交渉を開始することを発表した。日本の安倍晋三首相は同日、ファンロンパイEU大統領との電話会談で、EPAの第1回交渉を4月に行うことで合意した。経済参考報が伝えた。
日本はこれに先立ち「環太平洋経済連携協定(TPP)」交渉への参加も表明している。安倍政権はEUとの経済関係の強化とTPP参加を自由貿易の拡大を通じた日本経済立て直しの核心的措置と位置づけている。順調に協定が締結された場合、世界のGDPの3分の1を占める巨大貿易圏が形成される。このほか26日には中日韓自由貿易協定(FTA)交渉も始まった。日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も第1回交渉を5月に開始する予定だ。日本はこうした交渉の中で重要な位置を占めることが、自国に有利なルールづくりに主導的に参与する最良の機会だと見ている。
日本にとって欧州は中国と米国に次ぐ第3の貿易パートナーであり、関税の引き下げと関税障壁の撤廃を目的とするEPAの締結は、日欧双方にとって経済立て直しの重要な一環となる。日欧EPA交渉の最大の焦点は自動車だ。日本はEUに10%の自動車関税の撤廃を求めている。EUは日本の軽自動車規格に問題があると考えているほか、食品安全基準の見直し、医薬品の輸入審査のスピードアップなどを求めている。日本の農業市場の開放も大きな障害だ。日本は輸入米に778%、輸入乳製品に360%の関税を課している。日本は長年来、高い関税によって外国産農産物の流入を阻止してきた。関税撤廃は日本農業にとって深刻な打撃となる。日本はEUとのEPA交渉で農産物を関税引き下げ・撤廃の例外とするよう極力務め、TPP交渉や中韓とのFTA交渉でも同様の立場を堅持するだろう。農産物分野でどんな譲歩をしても安倍政権は国内農業関係者の断固たる反対に遭うことが予想される。これは日本とEUのEPA交渉が順風満帆とはいかないことを示してもいる。
言及に値するのは、日本とEUは経済分野のEPA交渉を開始するだけでなく、安全保障を含む政治分野でも新たな協定の締結に努力しようとしていることだ。欧州債務危機以降、中国とEUの関係はさらに近づいた。経済危機に陥ったギリシャなどの国債を中国が購入したことに、EUは感謝している。中国にとってEUは最大の輸出相手国の1つだ。ユーロ圏経済が立ち直れば、中国にとってプラスだ。だが日本メディアは中国が欧州を支援する目的は決してそれだけではなく、EUから武器を輸入するために一貫して禁輸令の解除を促していると考えている。日本はフランスなどの最先端武器が中国に流入すれば、東アジアの軍事的均衡が破られると考えている。日本では、日本は中国のように欧州に対して巨額の資金支援をすることはできないが、価値観の同じEUとの政治協定締結は重大な意義を持つとの見方が一般的だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年3月29日