ジョンソン&ジョンソン 独占行為で53万元の賠償命令
ジョンソン&ジョンソンと代理商間の「中国初の垂直的独占」と呼ばれる案件が、中級・高級法院(裁判所)の3年間に渡る審理を経て、ついに判決が下された。上海市高級人民法院は1日、ジョンソン&ジョンソンが医療用縫糸の価格を操作したとして、同社に対し、代理商の北京鋭邦涌和科貿有限公司(以下、鋭邦公司)への賠償金53万元の支払いを命ずる最終判決を下した。京華時報が伝えた。
ジョンソン&ジョンソンは、医療用縫糸や吻合器などの代理商である鋭邦公司と、15年間にわたって提携関係を結んでおり、双方の代理販売契約は年に1度更新されていた。2008年1月に更新された年度代理販売契約の中で、双方は「鋭邦公司はジョンソン&ジョンソンが指定する地域で、ジョンソン&ジョンソン傘下のエチコン・エンドサージャリーの商品を販売する。同期間中に、鋭邦公司はジョンソン&ジョンソンの規定を下回る価格で商品を販売してはならない」と取り決めていた。
鋭邦公司は同年3月に北京大学人民病院で実施された、ジョンソン&ジョンソン医療用縫糸の販売に係る入札において、最低落札価格で落札した。ジョンソン&ジョンソンは、低価格の入札行為に対して警告を発した。ジョンソン&ジョンソンはその後、鋭邦公司の一部病院における代理販売権を取り消し、最終的に縫糸および吻合器の供給を停止した。ジョンソン&ジョンソンは2009年、鋭邦公司との代理販売契約を更新しなかった。
鋭邦公司は2010年8月、ジョンソン&ジョンソン(上海)医療器材有限公司、ジョンソン&ジョンソン(中国)医療器材有限公司を相手取った訴訟を起こした。これは中国の「独占禁止法」の施行以来、法廷が審理した初の垂直的独占の民事訴訟となり、「中国初の垂直的独占」と呼ばれるようになった。鋭邦公司は、「ジョンソン&ジョンソンは競争の直接的な制限を目的とし、代理販売契約の中の契約条項により、鋭邦公司が第3者に最低価格で転売することを制限し、鋭邦公司に警告を発し、契約を中止・終了するなどの手段をとり、鋭邦公司が最低転売価格を維持することを脅かした。ジョンソン&ジョンソンの上述した行為は、独占禁止法が禁止する最低転売価格を制限する行為に当たり、鋭邦公司に損害をもたらしたため、法に基づきジョンソン&ジョンソンに1400万元余りの賠償命令を出すよう訴訟を起こした」と表明した。
上海市第一中級人民法院は2012年5月に下した一審判決で、鋭邦公司側の証拠が不十分だとして訴訟請求を退けた。鋭邦公司はその後、上訴を届け出た。上海市高級人民法院は昨日の審理後、本件には独占禁止法が適用され、ジョンソン&ジョンソンが代理商に自社の規定を下回らない価格での商品販売を求める行為は、独占行為に当たると判断した。法院は一審判決を撤回し、ジョンソン&ジョンソンに判決の発効日から10日以内に鋭邦公司に53万元の賠償金を支払うよう命じたが、鋭邦公司のその他の訴えについては退けた。
本紙記者が8月1日にジョンソン&ジョンソンを取材したところ、同社は今回の判決の結果に対して、現時点ではコメントできないと表明し、「明日回答する」とした。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年8月2日