中国経済のアップグレード 7大エンジンが必要
経済発展はソフトのアップグレードと同じく、絶えず「つぎ」を当てアップグレードを続ける過程が必要だ。改革開放からこれまでに、中国経済は2回の大規模なアップグレードを経験している。それぞれ1980年代前半の「新たな経済発展の道を模索」と、90年代の「経済発展方式と経済体制の二つの転換」の実現だ。これにより中国経済の30数年間に渡る高度成長の奇跡が創造され、中国は世界10位の経済国から2位の経済国に躍進した。(文:胡鞍鋼・清華大学国情研究院院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国の経済発展は、新たなモデルチェンジ・アップグレードのチャンスと課題に直面している。経済発展方式が転換を加速し、経済・社会の発展が科学的な発展の軌道にのった。地域間の1人当たりGDP、都市部・農村部住民の所得、全国住民のジニ係数の差が縮小を開始し、国民生活の福祉水準が高まり、環境品質も改善されている。その一方で、国際的な経済情勢は楽観できず、国内経済の成長率も低下し、雇用・国民生活問題が課題に直面している。世界的な気候変動の圧力が深刻化し、国内資源環境の制約がさらに強まった。経済・社会の発展が直面しているジレンマが増加し、科学的発展を制約する長期的かつ深いレベルの矛盾が依然として存在している。
このため、中国経済のアップグレード版を構築し、経済発展方式の根本的な転換を実現することで、国民経済と社会の発展を全面的に科学的発展の軌道にのせる必要がある。
2013年3月の両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)以来、新指導部は中国経済のアップグレード版を構築するという、重要な構想を示した。この構想は中国共産党中央委員会、中国国務院の「科学的発展をテーマとする」、「経済発展方式の転換の加速を基線とする」という発展構想の継続・延長であり、中国経済が新たな戦略的チャンスを創造するカギである。これは科学的発展を実現するというテーマの要点を押さえ、経済発展方式のモデルチェンジの加速という基線の「突破口」を見出しており、綱挙目張(要点を押さえれば自然に解決される)の作用をもたらすだろう。