伝統的金融業を脅かすネット大手の金融サービス
インターネット大手各社が次々に金融サービスをうち出している。今年6月には阿里巴巴が「余額宝」をうち出し、7月には新浪が「微銀行」をうち出し、8月には騰訊が発表した「微信」5.0バージョンと「財付通」が連携することになり、オンラインゲームの巨人網絡は「全額宝」をうち出した。中国平安保険(集団)株式有限公司の馬明哲さんがかつて述べていたように、伝統的な金融企業である同公司の最大の競争相手は、他の伝統的な金融企業ではなく、現代の科学産業なのだ。
インターネット金融の産物である余額宝を例に取ると、サービス開始からわずか18日間で、利用者は累計251万5600人を超え、チャージされた金額は累計66億100万元に達した。ネット大手の激しい金融争奪戦を前にして、中国社会科学院(社会科学アカデミー)財経戦略研究院の荊林波副院長は、「現在、わが国の金融イノベーションはそれほど十分でなく、まだ不足気味だ。既存の金融システムはなお硬直状態にあるため、法律で禁止されていない分野では、イノベーションの模索を奨励するべきだ。だが監督管理も同時に進める必要がある」と話す。
ある専門家によると、ネット企業が金融産業に大挙して押し寄せていることの背景には、金融産業における民間資本の浸透ぶりがある。今年6月19日に開催された国務院常務会議でも、民間資本が金融産業に流れるよう推進することが明確に提起された。相応の規範や措置が相次いで打ち出されるのに伴い、こうした傾向が一層強まるとの予測が出てきた。
▽ネット金融が伝統的金融産業の「生態系」を変える
インターネットによる金融産業の「侵略」は伝統的な金融産業の「生態系」を変えつつある。考え方や運営モデルから、資金チェーンの流れまで、ネット企業はできないことはないというような姿勢でネット金融の時代はこれまでとは違うものになると宣言する。
決済サービスの支付宝(アリペイ)を例に取ると、利用者は支付宝にチャージした資金を余額宝に移すだけで、通常の買い物に使用したり、ファンド投資を行ったりできる。支付宝の樊治銘副総裁(副社長)によれば、これまでの投資商品にはそれぞれに参入のハードルがあったが、余額宝ならわずかな資金でも他の投資家と同じように遊んでいる資金を増やす権利を享受できるという。