喜び懸念相半ば 日本新型ロケットの不透明な将来性
14日、日本の新型固体ロケット「イプシロン」の初の打ち上げ成功に、日本中が沸き立った。15日、落ち着きを取り戻した日本のメディアは反省し始めた。共同通信は「産業重視へと大きくかじを切っている日本の宇宙開発の切り札と期待されるが、具体的な近未来のビジネスは見通せない」と伝え、産経新聞は「新型ロケットは2度にわたって延期され、その信頼性に不安を残した印象は否めない」と報じている。環球時報が伝えた。
共同通信は「宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日午後2時に、鹿児島県肝付町内之浦宇宙空間観測所で、新型ロケットのイプシロンの発射に成功した。ロケットの発射から約1時間後、ロケットに搭載されていた宇宙望遠鏡が順調に切り離され、予定の軌道に乗った」と報じた。また、NHKは「安倍晋三首相は今回の発射を高く評価し、『わが国の宇宙技術の信頼性の高さを証明するものと考えている』『将来の経済成長の一助につながることを期待している』とコメントした」と報道。この新型ロケットのエンジンは、日本の大型ロケットH2Aの固体補助ロケットと2006年に引退した固体ロケットM5の一部を使用している。しかし、開発チームは人工知能で機体を自動点検する仕組みやパソコン2台で済む管制方式を新開発したという。本プロジェクトの責任者である森田氏は「発射前の300カ所の点検にこれまで60人で3時間かかったが、イプシロンは3人が2台のパソコンを使い70秒で済ます」と説明する。
産経新聞は、「新型ロケット『イプシロン』の成功で国産の固体燃料ロケットが7年ぶりに復活した。日本の宇宙開発の自由度が高まる意義は大きい。固体燃料ロケットは、米国からの技術導入で始まった液体燃料ロケットとは違う日本独自の技術で、多くの成果を挙げてきた」と伝え、テレビ局のTBSは、「今回の打ち上げ成功で、今後新興国などを中心に需要が高まるとみられる小型衛星の打ち上げビジネスに弾みがつきそうです」と伝えた。
共同通信は15日、「今回の発射成功により、日本はH-IIA・H-IIB液体燃料ロケットによる大型衛星の発射、イプシロンによる小型衛星の発射という陣容を整えた。日本は長期にわたりロケットの発射回数の少なさ、コストの高さから、民間需要を取り込めていなかった。今回のイプシロンの初号機にかかったコストは約53億円だが、2017年までにはこれを30億円以下に引き下げることで、小型衛星発射の競争力を高める。イプシロンの2号機発射は2年後を予定しており、その後は計画が立っていない。これはビジネスの具体的な見通しがついていないためで、日本宇宙産業の切り札になれるかについては未知数だ」と解説。産経新聞はまた新型ロケットは開発期間中に故障が見つかっており、2度にわたり発射が延期されたことから「その信頼性に不安を残した印象は否めない」としている。中国人専門家は15日、環球時報の取材に対し、「打ち上げ用ロケットは輸送モジュールと宇宙船によって構成されており、弾道ミサイルは輸送モジュールと弾頭の組み合わせであるため、両者の差はあまりない。ロシアは大陸間弾道ミサイルを改造して商用衛星を何度も発射している。打ち上げ用ロケットの弾道ミサイルへの転用には、管制システムと飛行パラメータの修正が必要だ。これは打ち上げ用ロケットの飛行高度を、弾道ミサイルの遠距離発射に修正することだ」と解説した。共同通信も、「複数国で開発されている固体燃料ロケットがミサイル発射に転用されている」と認めている。(編集EW)
「人民網日本語版」2013年9月18日